「マグマ大使」(1993年作品)第13話・最終回 感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原作:手塚治虫、監督:うえだひでひと、制作:手塚プロダクション。



第13話 愛がある星

地球の為に命を懸け、玉砕したマグマを前に呆然となるマモル。「君こそ本当の地球人だ」と詫びつつ泣き崩れる。哄笑するゴアは地球の輝きを取り戻す為、無数の怪獣を放ち人類を蹂躙。人類滅亡が地球の意思なのかと失望にかられるマモル。

<雑感>

最終回でマグマ復活。ミエミエだったな。正直、あまり良くなかった。ピープロの特撮版が出来過ぎていたということか。

アニメ版は、宇宙からの侵略者ゴアが地球の意志であるアースと戦い、いったん封印されてしまう。しかし地球に人類が誕生し、文明を発達させるタイミングで人類の資質を問うためにゴアが復活。地球は異星人であるゴアに委ねるべきなのか、地球原生種である人類に委ねられるべきなのか問われることになる。

人類の意志を確認する試験体として選ばれたマモル少年が地球自身の力を信じていなかったことで文明が崩壊。しかし、アースの助言、ヒトモドキとなってまで息子の安否を気遣う母の存在から地球に満ちる愛の力を再発見し、その強い意志によりいったん滅びたマグマ大使が復活。

マグマ大使は身体が崩壊しながら死んではおらず、土に還って傷を癒していただけだとわかり、異星人であるゴアを放逐した。これにより人類は名実ともに地球を担う後継者としてアースに認められた。こんなところだ。

あらすじを書き出せばそこそこ面白そうなコンセプトのような気もするが、話の大きさを具現化する装置としてアース、マグマ、モル、ガム、マモルではあまりに弱すぎる。壮大なテーマを作品にするには仕掛けがチャチすぎるのだ。壮大なテーマにはそれなりの大きな仕掛けがいる。

一方、テーマを無視したわけではないがあくまで子供番組として割り切って作った1966年の特撮版「マグマ大使」は、1話完結、マグマ対怪獣、マモルとガムの子供同士の掛け合いなどわかりやすさを重視して作ってあった。合成されたアニメも不思議な味わいがあったものだ。

特撮版の思い出を語り出すと長くなるのであまり書かないが、ゴアの円盤が地球の物質を吸い上げるようなシーンと、マグマ大使の腹から発射されるミサイルを弾き返すアニメはひときわ印象深い。手塚の作風に合わせて、役者もバタ臭い顔で揃えてあった。モル役の人はのちに「失神女優」の異名を取って放送できない人になってしまった。中国人だったような気がする。