「 ブレイブ 群青戦記」(2021年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

本広克行監督による日本のアドベンチャー映画。出演は新田真剣佑、山崎紘菜、鈴木伸之。

 



<あらすじ>

スポーツ強豪校星徳学院高等学校で謎の失踪事件が起きた。校庭に雷が落ちると、学校は見知らぬ野原のただなかに移動していた。そこに簗田政綱の軍が姿を現し、生徒たちを斬り伏せ、人質を取って去っていった。星徳学院高等学校ごと戦国時代にタイムスリップしていたのだった。

体育館に集まった生き残りたちは、偵察にやってきた松平元康から事情を聴き、人質が丸根砦にいることを教えてもらった。さらに元康は自信が考案した大高城兵糧入れの作戦がそのまま人質救出に使えるかもしれないと教えてくれた。ところが織田軍の奇襲を受けて作戦は失敗。多くの人命を失った。

簗田政綱の正体は失踪事件の当事者の不破であった。彼は歴史改編の野望を抱いて織田信長に取り入ったのだった。そのころ学校では進学クラスの生徒が、謎の現象を解明し、2時間後なら現代に帰還できるかもしれないと結論を出していた。陸上部員に伝令を頼み、2時間後に学校に集合することになった。

数に勝る織田軍を得意の部活能力を駆使して打ち砕き、元康の援軍も得て人質を連れ逃げようとしたところ、不破が立ち塞がり元康を殺してしまった。松平元康はのちの徳川家康。彼がいなくなっては歴史は大きく変わってしまう。弓道部の西野はこの時代にひとり残り、のちに徳川家康になった。

<雑感>

破天荒な作品だが、夏休みに子供が見るにはちょうどいい作品じゃないか。特撮俳優が多数出演していて個人的に大好きな作品だった。大高とか丸根とか懐かしい。大高城と鷲津砦は公園として残っているけど、丸根砦は住宅街の中に紛れていてわかりづらいところにあるよ。

当時の地形としては、鳴海の辺りは湿地帯で名鉄鳴海駅からJR大高駅まで移動するには、西側をかなり遠回りしなければいけなかった。桶狭間に向かう織田信長の軍が最後に休息を取った中島砦は、扇川の傍の一般住居の中に記念碑があって、住人の好意で中に入って写真を撮ったりできる。中島砦の辺りは海抜ゼロメートルに近いけど、田んぼがあったから干潟ではなかった。

鷲津砦と丸根砦は、大高城を落とすために織田信長が作らせた砦で、大高城を頂点とする二等辺三角形の底辺の二点の位置にある。織田軍に攻められた大高城は敵陣地に孤立、兵糧が枯渇していた。そこに兵糧を運び入れたのが松平元康で、家臣の本多忠勝は当時15歳で初陣だった。

佐々成政の兄が突っ込んで戦死した鳴海城は、丸根砦から少し高い位置にあって、今川義元の家臣朝比奈泰朝が守備していた。朝比奈泰朝は大高城とともに織田陣営に食い込む形の前線にあって、窮地の大高城を再三救っていた。信長は今川義元がやってくる前に大高城を落とせなかったので、鳴海城の朝比奈泰朝は佐々成政の兄が100騎ほどで襲撃してきても慌てなかった。

だがこのとき、織田信長は鳴海城の脇をすり抜ける形で中島砦に入っていたのだ。佐々成政の兄は囮として捨て駒になったのだった。その後、信長の軍は現在の国道1号線辺りを馬で駆け抜け、今川陣営に潜り込ませていた間諜の手引きで今川義元の本陣に突入。総大将の首を取ってしまう。

そんなところに高校生が突っ込んでいって部活の能力で大活躍するのは素直に胸躍るシチュエーションだ。

☆5.0。三浦春馬がいた気がする。撮影に参加していたのか、単なる見間違いか。