「ノートルダムのせむし男」(1923年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ウォーレス・ワースリー監督によるアメリカの文芸映画。出演はロン・チェイニー、パッシィ・ルース・ミラー、ノーマン・ケリー。

 



<あらすじ>

大僧正に庇護されノートルダムで鐘楼守として働くカジモドは、容姿が醜く他人から嘲笑を受けながら寂しく生きていた。辱めを受けている彼を憐れみ、水を飲ませてくれた少女がいた。ジプシーの踊り子エスメラルダだった。彼は感謝し、秘かに恋心を持つようになる。

大僧正の弟ジェハンは彼がエスメラルダに恋をしているのを見抜き、彼を使ってエスメラルダを誘拐させようとしたが、近衛兵のフォッビュに阻まれ失敗。エスメラルダはフォッビュと恋に落ちた。

エスメラルダが養父のライバルによって貶められようとしたとき、カジモドは彼女を庇いノートルダム寺院に立てこもった。怪力で物を投げて抵抗するも、最後は力尽き、エスメラルダとフォッビュがしかと抱き合い生きているさまを見ると鐘を突きながら満足して死んでいった。

<雑感>

サイレント映画版。原作はヴィクトル・ユーゴーの「ノートルダム・ド・パリ」。何度も舞台や映画になっている人気作だ。最後に鐘を突くのはそれが彼の仕事だからではなく、ノートルダムの鐘が鳴るとき死刑執行が行われるとパリ市民が知っているからだ。カジモドは、他の死刑囚が処刑されるとき鐘を突いてきた。自分のときにもそれを鳴らしただけなのだ。

彼の職業意識と清廉な鐘の音により、カジモドは本当に醜かったのかと問う終わり方だ。

☆4.8。とても素晴らしいが、カジモドの最後の演技のところが多少自己憐憫を感じて好きではなかった。