「少女」(1961年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

堀池清監督による日本の文芸映画。出演は川地民夫、笹森礼子、殿山泰司。

 



<あらすじ>

青森から上京したカネ子は、作家を志していたがまずは食わねばならず、美容院に住み込むことになった。ところが勝気な彼女はすぐに喧嘩してしまい住み込みの仕事を放り出してしまった。同県人の作家草田のところに向かった彼女だったが、あいにく草田は記者の女を口説いているところですっかり幻滅してしまう。

下宿先の男性がキャバレーのトランペット採用テストを受けるというので付き合ったカネ子だったが、下宿先の男が失敗するのをバンドマンが笑うのを見かねてまた暴れてしまう。どこにも居場所がなくなったカネ子は、母が倒れたとの知らせを受けて実家に帰った。そのあとを下宿先の男が追いかけ、ふたりは田舎で暮らすことになった。

<雑感>

60分ほどの中編映画。カネ子役の笹森礼子さんが綺麗なのは言うまでもないが、1960年当時の青森の田舎の雄大な風景に圧倒されてしまう。最後にカネ子を追いかけてきた都会の男が彼女にプロポーズするのだが、それに対するカネ子の返事が実に清々しい。こんなの惚れてしまうやろ。

囲炉裏を中心とした田舎の生活といい、内容よりも文化習俗に興味を持ってしまう作品であった。

☆5.0。カネ子はヒステリックでエキセントリックな性格のように描写されているが、明るくて陰湿さがない。現代の作品の登場人物は本来の意味合いでナイーブで、気狂いのようである。