「田園交響楽」(1946年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ジャン・ドラノワ監督によるドイツの文芸映画。出演はミシェル・モルガン、ピエール・ブランシャール、リーヌ・ノロ。

 



<あらすじ>

牧師のジャンは、老婆の死を看取ったのち、その家にいる名もない盲目の少女を引き取った。ジャンは彼女をジェルトリュードと名付けた。彼女は美しい娘に育った。するとジャンは、彼女をよこしまな目で見るようになった。ジャンの息子ジャックもそうだった。ジャンは息子に、蚊の音は付き合わせないと警告した。ジャックは幼馴染のピエットと結婚した。

ジャンはようやく自分の醜い欲望に気づき、息子ジャックからもそれを指摘されて恥じ入ると、ジェルトリュードに眼の手術を受けさせた。目が見えるようになったジェルトリュードは、自分が思い描いていた愛の牧師ジャンが、醜く疲れ果てた老人であることに絶望し、むしろジャックの面影の中にそれを見い出した。ジャンとジャックはジェルトリュードを奪い合って醜い争いをした。

ジャンの妻は、夫の愛を失い、息子にまで家を出ていかれたことでジェルトリュードを激しく呪った。ジェルトリュードは雪の中を駆け出して、川に身を投げると自殺した。農夫からそれを知らされたジャンは、自分の身分のことも忘れてこの女はオレのものだと絶叫した。

<雑感>

醜いですなぁ。聖職者なんてこんなものだ。

原作はアンドレ・ジイド。有名なのでよもや読んだことはない奴はいないはずだが、我々のころと違って外国の翻訳本が手ごろな価格で買えなくなっているから、若い子はどうなんだろうなぁ? 我々のころは、古本屋でこの手の作品は10から50円ほどでいくらでも買えたのだ。

たしかこの本は、立ち寄った古本屋で箱入りの文庫本が50円で売っていて、柔道の大会の帰りに静岡で購入した記憶がある。新幹線の中で全部読んでしまった。中学生のときかな。箱入りの文庫本は、新潮社の世界文学全集だったような気がするが、その辺はうろ覚えだ。

☆5.0。子供のころの記憶力というのはすごいもので、ほんの数時間で体験したことをずっと記憶している。そんな時代にテレビなど見るから「ワリーネ・デートリッヒ」なんて言葉が頭から離れなくなるのだ。