「ボヴァリー夫人」(2014年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ソフィー・バルテス監督によるドイツ・ベルギー・アメリカの文芸映画。出演はミア・ワシコウスカ、リス・エヴァンス、エズラ・ミラー。

 



<あらすじ>

修道院で暮らしていたエマは、年上の医師との良縁に恵まれ結婚した。裕福な家だったので家事など一切やる必要がなく、退屈したエマは法律事務所書記官のレオンに惹かれ始めた。レオンは浮気を持ち掛けるがエマが躊躇しているうちにレオンは村を離れることになった。

次は屋敷にやってきた夫の友人である侯爵を好きになった。侯爵はエマを口説き、いったんは断った彼女だったが辛抱我慢たまらずに浮気に走った。夫は難しい手術の予習に時間を割いていたため、エマは狂ったように侯爵の肉体を求めた。夫の手術は失敗。夫婦仲は最悪になる。

侯爵が死んで下半身の火照りが収まらないエマは、再びレオンと会って肉体関係になった。エマの父が死んで土地を相続したとき、出入りの商人のルウルーが裏切って浮気の口止め料として土地の権利書を求めてきた。エマはルウルーに多額の借金もあった。エマは洋服を売り払い、レオンとの浮気で憂さを晴らした。

1万フランの借金のことがバレてしまい、夫とその家族に見限られ、レオンにも会ってもらえなくなった。多額の借金のため自宅は売却されそうになり、土地も取られてしまいそうだった。侯爵もエマを見限り、神父にも自殺を勧められた彼女は、服毒して森で果てた。

<雑感>

退屈という病に罹患して奔放な行動で日ごろの憂さを晴らした女が破滅する有名な話で、賭け事に狂う男と散財と浮気に走る女はひとつの類型として存在する。しかしそれを最初に物語にするのはひとりしかないない。作者のギュスターヴ・フローベールは、世の中にあるまだ描かれていない類型的人物を発見した人物。

金持ちの子も散財で貧乏になることがあるが、貧乏に恐怖心を持っていないと男でも女でもこうなる。浮気の部分は、まぁ誰でも同じだ。人間は美しくなくなることに恐怖心を持っていないと、誰でも猿のように醜くなる。

☆3.4。良い映画であったが、アメリカの作品だったのが残念。フランス映画で見たかった。