「アリオン」(1986年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

安彦良和監督による日本のアニメ映画。



<あらすじ>

盲目の母デメテルと暮すアリオンは、伯父ハデスに冥府世界へ連れ去られた。アリオンは、ポセイドンの呪いを解くべく獣人ギドと少年セネカを従え旅に出ることになった。ゼウス軍とたたかい囚われたアリオンは、聾唖の少女レスフィーナに救われ、彼女が双子の妹だと知った。

地底王ハデスとまみえたアリオンは、彼をなじって殺すもその霊魂に憑りつかれ、父ポセイドンを殺してしまう。ポセイドン軍は力を失い、アテナ軍の前に敗北を喫する。秦の敵をアポロンと定めたアリオンは、オリンポスを目指し、そこで自分の実の父が獅子王だと知った。獅子王は、大地王ゼウスに滅ぼされ、レスフィーナの発揮した秘力の前にゼウスも力を失いアポロンに滅ぼされた。

アリオンとレスフィーナは、盲目の母デメテルの元へと戻っていった。

<雑感>

この作品の原作漫画は中高生のときに連載していて、高校生の頃には大の安彦良和ファンの友人らと大いに盛り上がっていた。ファンは男女を問わずたくさん存在していて、原作漫画を揃えている人間も大勢いた。高校在学中に公開された「クラッシャー・ジョー」はイマイチだったが、もしこの作品がアニメ化されたら大ヒット確実などと仲間内で話し合っていた。

大学へ入学しても、友人らとの関係性はそんなに変わらないだろうとオレは思っていた。ところがである。東京の大学へ入学すると周囲にアニメファンはおらず、ましてやアニメ雑誌を購入している人間などいない。田舎者なのでどこへ行けば同好の士がいるのかもわからない。

異性との付き合いが本格化する時期なので、大学で出来た友人らの会話は同棲するかしないかみたいな話題ばかりで、オレもそれに合わせるしかない。同じ高校出身者はひとりもいない。同県人は互いに避け合う。大学で出来た友人に話を合わせるしかなかった。

サークルも考えたがどうも違うし、思い切って生活を一変させようとバンドのライヴなどに出掛けるようになってアニメのことはすっかり忘れた。この作品はそんな時期に公開された劇場作品だ。待ちに待ったはずのアニメ化なのに、公開されたことすら知らなかった。アニメの情報を遮断していた時期なので、評判のことすら記憶にない。それほど盛り上がっていなかったはずだ。

のちにレンタルか何かで観たが、原作者本人がアニメを作っているのに原作の面白さをまるで生かせておらず、結局アニメは監督(演出)次第なのだと思うに至った。安彦良和は「クラッシャー・ジョー」で表出した演出能力のなさをこの作品でも露呈した。オレは彼の監督作品を見限った。

☆3.0。思い出の作品だが、面白くないのだから仕方がない。絵は綺麗だが、映像作品は演出なんだよ。本人ものちに自分の演出が弱いことに気づいたようだ。