「エイリアン」(1979年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

リドリー・スコット監督によるアメリカのSF映画。出演はトム・スケリット、シガニー・ウィーバー、ヴェロニカ・カートライト。

 



<あらすじ>

宇宙貨物船ノストロモ号は地球への帰還途上にあった。突然コールドスリープから起こされた乗員たちは、近くに放棄された巨大宇宙船があってそこから電波が発信されていると聞かされる。生命反応があるとのことで規約上探査に向かわねばならなかった。

宇宙船には未知の生物の死体があった。腹が食い破られている。さらに宇宙船内部を調べていると、突然カブトガニのような生物に襲撃された。それは襲った男に卵を産み付けて腹を食い破って出現した。とてつもなく攻撃的な生物であったために全員で捕らえようとするも乗員たちは次々に犠牲になっていった。

エレン・リプリーはホストコンピューターマザーにアクセスをして、知的生命体との接触があった場合はそれを持ち帰ることが最優先となって、乗員の生命は放棄してもいいとの規約を見つける。それを見たアッシュは、リプリーを襲撃。アッシュは謎の乗組員であったためにジョーン・ランバートが殴りつけるとアッシュの頭部はもげてロボットであることが明らかになった。

会社は自分たちの命を守ることより知的生命体を持ち帰ることを優先していると知った生き残りは、宇宙船を破壊してシャトルで脱出しようと目論んだ。しかしその前に襲撃されて、リプリー以外は殺されてしまう。リプリーはシャトルに乗り込んで脱出したが、エイリアンはすでにシャトルに乗り込んでいた。リプリーは荷物と一緒にエイリアンを船外へ放出して難を逃れた。

<雑感>

献血しながら視聴したのだが、まさに傑作。昨今の低予算映画と違って、各シーンが絵になっている。遠景近景人物が印象的に配置されている。最近の作品は、アップばっかりでつまらんよ。この作品もほとんどはガラスに描いた絵で、それほど予算が掛かっているわけではない。

そして何といってもギーガーのデザインの素晴らしさ。替えの効かない個性的デザインがこの作品を稀有なものにしている。アーティストが見る幻視というものがいかに貴重な代物かよくわかる。ギーガーの代替は存在しないのだ。これが個性というものだ。

ところが昨今の映画業界は、資本家がとにかく偉いとされていて、個性のある監督を敬遠し、癖のある脚本家を干し、イエスマンばかりで映画を作る。俳優が出資してプロデューサーに名を連ねた映画のつまらんことつまらんこと。ブラッド・ピットとかディカプリオらの世代が本当にハリウッドをダメにした。むかしは出資者とプロデューサーと監督が丁々発止でやり合って監督が作りたい映像を作っていたのに。だから面白い作品が生まれた。

映画はアートだし、アートだから映画を観ている。資本家が一番偉い映画なんて、そんなものを見て何を楽しめってんだ。

☆5.0。最高ですよ。(2020年の記事です)