マキノ雅弘監督による日本のドラマ映画。出演は森繁久彌、水島道太郎、河津清三郎。
<あらすじ>
殺陣師市川段平は、男気があり素晴らしい殺陣をつける人物であった。彼の仕事は舞台において欠かせないものであったが、あるとき彼は病に伏して頼まれていた舞台に殺陣を届けることができなくなった。そのとき、雇人のお菊が自分が大事な殺陣を届けるから教えてくれと願い出た。
お菊はずっと家で奉公していた女性。段平は彼女に殺陣を教え、彼女が舞台俳優にそれを披露するとまるで市川段平そのもので驚かれた。そして市川段平は妻のお春とお菊に見守られながら死んでいった。
<雑感>
舞台ではあくまでで裏方の殺陣師。そんな殺陣師にも人生があり、そして見せ場があるのだとスポットライトを当てた作品。優しい世界である。
お菊は雇い娘で、ただの奉公人なのだが、おそらくは小さなころから家で世話になっているのだろう、段平を父と慕い、娘として奉公したい気持ちがあったのだろう。最後はまるで娘のように彼の死を見守る。
☆4.5。これもいい映画であった。血の繋がりはなくとも、心の繋がりは確かにあったのだ。