「すっ飛び駕」(1952年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

マキノ雅弘監督による日本の時代劇映画。出演は大河内傳次郎、黒川弥太郎、三浦光子、長谷川裕見子。

 



<あらすじ>

ゆすりたかりを生業にしている河内山宗俊は、奥州棚倉藩筆頭家老の息子の金子市之丞を助けた。聞けばこの男、親が藩の不正を見つけて証拠を押さえたところ、悪党どもに返り討ちに遭い、父の仇を討つために江戸詰めの殿様に証拠をもって談判するつもりなのだという。

意気に感じた宗俊は、彼を密貿易の森田屋に匿ってもらい、さらに森田屋の生き別れの妹で花魁になっていた三千歳に引き合わせた。だが市之丞はしくじり、藩の悪党に証拠書類を奪われてしまった。市之丞を匿っていると知られた森田屋は密貿易の咎を受け自首。

宗俊は状況を打破するために僧を装って殿様に会いに行き、事の次第を語って聞かせた。宗俊と市之丞は悪党をふん捕まえた。裏切り者を恫喝して追い払った宗俊は、死を覚悟で密売の証拠を放火で消して出頭した森田屋の最後の願いを遂げようと市之丞に三千歳を預けようとした。

ところが当の市之丞は花魁を匿うと家名が穢れると暗に仄めかし、怒りに震えた宗俊にしたたかに打ち据えられる。三千歳は御家人崩れの男にこの隙に逃げようと持ち掛けられ、これにも頭にきた宗俊はこの男も恫喝して追い払った。

<雑感>

最後画面が暗くて何が起こったのかわからなかった。たくさんの提灯があったので、これから捕り物が始まる予感があったのだが、宗俊が歌いながらその場を離れていったので、誰が捕まったのか?

全体的に画面が暗くて科白が聞き取りにくい。この作品は封建時代の歌舞伎のような話なので、花魁の女はよよと泣くばかりだ。しかし、ゆすりたかりをしている悪党を悪人として描かない古い作劇の魅力的なことといったらないね。家名を持ち出し、世話になって好いた女の身請けもできないのかとバンと打ち据えるところに胸がスカッとする。

☆4.5。森田屋もいい味出していた。最後がわかりにくいところだけが難点だった。