「銀河英雄伝説外伝・千億の星、千億の光」第8話 感想 | 深層昭和帯

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第8話 伯爵家後継候補

 



キルヒアイスは実家への帰省を果たした。8年ぶりのことであった。

家族との面会を果たし、1日宿泊ののちに戻ってみるとラインハルトに伯爵家の名跡を継がせるという話が持ち上がっていた。これは大将に昇進したグリンメルスハウゼンが皇帝の元を訪れた際に決められたことであった。

家名が途絶えた中にローエングラム伯爵家があった。ローエングラムはルドルフ皇帝以来の名門で、この噂は門閥貴族の中に強い反感を植えつけた。

同じころ、リューネブルク伯爵に関しての噂も流れた。それは彼が皇帝の御落胤であるという噂だった。何の物的証拠もない噂話であるが、もしそれがリューネブルク自身の手で流されたものだとしたら油断のならない野心家であるとラインハルトたちは警戒した。

【雑感】

前半はすべてキルヒアイスが実家に帰省する話。特に書くことはないが、8年ぶりに生まれ育った家に戻るときの気恥ずかしさが上手く表現されていた。また彼は級友とも再会し、友が古典文学を学ぶために大学へ進学したこと、徴兵に不安を抱いていることなどを聞いた。この友人は学生運動で捕まり獄中死している。

本来貴族社会は徴兵ではないが、銀河帝国は民主国家を打倒して作られた専制主義警察国家であるために徴兵という制度がある。徴兵+専制政治はナポレオン時代と同じで最悪の組み合わせ。大量の人員を動員できるために戦争が果てしなく大規模化する。

徴兵制度は民主国家においてのみ採用されるべきなのだが、民主国家は民主国家同士でその制度の危うさを理解するので徴兵は廃止されるか規模を縮小化される方向へと進む。ところが専制政治が徴兵をすると歯止めなく徴兵が繰り返され、しかも徴兵の見返りはわずかな恩給だけとなる。

参政権と徴兵制度を切り離すことがいかに危険かという話だ。