「血闘 スカラムーシュ」(1952年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ジョージ・シドニー監督によるアメリカのアクション映画。出演はスチュワート・グレンジャー、メル・ファーラー。

 



<あらすじ>

血に飢えた貴族ドゥ・メイン候ノエルは革命家のフィリップの正体を見破り彼を殺した。同行していたアンドレ・モローは道化師に身を堕とし、秘かに剣技を磨いて復讐の時を待った。

貴族の血を引くというアンドレは、父がドゥ・ギャヴィラック伯爵ではないかと考えこの没落貴族の家を訪ねていたが、とても自分に仕送りの出来るような経済状態ではなく訝しんでいた。美しい娘アリーンは自分の妹かもしれず、何も成果がないと落胆していた帰り道のことであった。

彼が主魚に明け暮れている間に、アリーンはノエルの婚約者にさせられていた。貴族であることに誇りを持ち革命家を毛嫌いする彼はあの日逃したもうひとりの革命家アンドレ・モローを執拗に追いかけていた。ノエルは新設の国民議会も気に入らず、新任の議員を殺して回っていた。

欠員が出た国民議会は弁舌と剣の腕を見込んでアンドレに議席を持ち掛けた。1度は固辞した彼だったが、ノエルの名を聞いて引き受けることにした。議会で丁々発止のやり取りをする彼だったが、復讐は諦めておらず道化師として舞台にも立っていた。

ノエルは過去数度の戦いで記憶していた動きに見覚えがあると、道化師がアンドレであることに気づき、早速国家反逆罪で決闘を申し込んだ。それに応じたアンドレは劇場を所狭しと暴れ回り、ついにノエルを追い詰めた。ところがどうしても彼を殺せない。

いったい何のために修業を重ねてきたのかと自分に問いかける彼に、ひとりの老貴族が進み出て、君はメイン候の息子だと告げた。つまりノエルの弟だったのである。自分が高貴な身分であると知った彼は苦悩したが、アリーンの兄ではないとわかって彼女と結婚することになった。

<雑感>

これはちょっと豪華なチャンバラ映画だった。レイピアでの動きがちゃんとしているので見応えがある。劇場の中で始まった決闘にはアイデアが溢れていて、軸のぶれないふたりの動きの周囲で物が壊れたり落ちて来たりして画面全体で動きが大きい。意外に良かったな。

☆4.5。自由の概念がフランス革命当時のものとは違っていて、アメリカの戦後の価値観になっている。戦後アメリカの自由の概念は1回考え直さないといけない。