「メッセンジャー」(2017年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ロブ・ヨーク監督によるアメリカのSF特撮映画。出演はブランドン・レイ・オリーヴ、K・ダナー・ジェラルド、ホイットニー・パルマ―。

 

メッセンジャー SF映画ポスター

<あらすじ>

土星の衛星タイタンから発信された怪電波は、海王星の衛星から発せられたものと合わせると和音になった。異星人とのコンタクトの可能性もあると世界は色めき立ち、アメリカと中国が発信源探査の調査を競い合った。国防省はロジャー・ネルソン大尉を往復10年のプロジェクトで宇宙へ送り出した。

タイタンで野球ボールの大きさの透明な球体を回収した彼は、それを素手で触って何かおかしな感覚に襲われた。海王星の衛星トリトンでも同じ球体を発見。準惑星エリスでも同様のものを回収してロジャーはミッションをコンプリートした。

冷凍睡眠しているとはいえ5年に及ぶ調査でその発信機に何かがあると考えた彼は、宇宙船の分析器であらゆる角度から透明な球体を調査した。するとその球体にはDNAがあることがわかった。それは生物だったのだ。球体は情報を発信するばかりではなく、情報の受信機でもあった。彼らは銀河系のあらゆる場所からの情報を受信していた。それは言語で、メッセージを含んでいた。

銀家系中から受信する情報はあまりに膨大で記録することはできなかった。だが解読は不能であったが、それが言語であるとAIは結論付けた。ロジャーと相棒のAIが彼らのことを分析していると知ったメッセリアン(透明な球体)は、突如情報を遮断し、最も近い場所からのメッセージを送ってきた。

それはオールト雲の中から発せられていた。メッセージの受信はそれが最後だった。

ロジャーはその場所へ向かうことに決めた。NASAや地球に残してきた妻は頼むからやめてくれ、球体を持ち帰ってくれと頼んだ。だがロジャーは冷凍睡眠で眠り、片道の旅へと向かった。

<雑感>

 

原題「MACELLAN」

嫁は途中で寝てしまったが、そこそこ楽しめるSF映画だった。まず断っておくと、低予算なのでSFXは期待しない方がいい。日本の特撮レベルである。だがアイデアがいいと思った。邦題は「メッセンジャー」になっているが、原題は「MACELLAN」。透明な球体は、知的生命体にもっと大きな世界があることを示し、教え、導く存在を気づかせるための人工的な生物なのである。

銀河系には巨大な文明圏が存在しているが、太陽系内にはその文明圏に参加している知的生命体はいない。そんな未開の場所に、新たな文明圏への参加者を探し彷徨っているのがメッセリアンなのだ。彼らは初めて太陽系内にやってきて、生命が誕生しそうな衛星に降り立った。そこでメッセージを発して和音を理解する知的生命体の存在を探した。それに反応したのが人類だった。

人類は3体のメッセリアンを集めた。知的生命体を確認したメッセリアンは、銀河系の文明圏の情報を受信して彼らの反応を観察した。しかし地球人の情報処理能力では解読できそうもない。そこで何らかのコンタクトが必要と考え、太陽系の外側にあるオールト雲まで来られるかと問うてみた。ロジャーはそれに応えることにした。こういう内容である。

ロジャーの視点で語られているが、同時にメッセリアンからのコンタクトもなされているのだ。これは王道ファースト・コンタクトSFである。メッセリアンが球体なのも、太陽系内の知的生命体の手の形状を観察するために必要なことなのだ。人間の手の形状ならば球体が拾える。

☆4.0。願わくばもうちょっと特撮を頑張ってもらいたかった。まぁいまどきこういう作品に金を出す人間もいないだろうが、ほぼロジャー役のおっさんのひとり芝居なのはつらかった。