フアン・カルロス・マネグリア、タナ・シェムボリ監督によるパラグアイのスリラー映画。出演はセルソ・フランコ、ビクトル・ソサ、ラリ・コンザレス。

<あらすじ>
運び屋の少年ビクトルの夢はテレビに出て有名になること。でもそれは夢でしかなく、携帯電話を買うお金すらない。彼は今日もせっせと荷物を運んでいた。
ある日のこと、精肉店から100ドルで7つの箱を運んでもらいたいと依頼があった。肉屋の店員たちの様子がおかしいので前金をせがむと、100ドルを破いて半分くれた。箱の中身は見ないとの約束だった。
その荷物は本当はネルソンに運ばせる荷物だった。ネルソンは薬の受け取りに手間取って遅れたのだった。仕事の依頼主は雑貨屋の主人。彼は狂言誘拐のつもりが間違って女性を殺してしまい、死体を肉屋でバラバラにしてネルソンに運ばせるつもりだったのだ。
ネルソンは金を稼がねばならないのでビクトルを追いかけた。それだけではなく地元のギャングから警察までが動き、ビクトルを追いかけた。貧しいパラグアイで荷物を運んでいると他人に奪われたりする。そのたびにビクトルは取り返さねばならない。警察に呼び止められたときは、彼の姉に惚れている警官が下心丸出しで助けてくれた。
ビクトルは恋人を見張り役にしながら、彼女の機転にも助けられてひたすら荷物を運び続けた。いつまで経っても帰ってこないので姉が心配になって探しに行くと、偶然殺人現場を見てしまった。ギャングらが絡んでいるので事件は次々に起きていった。
ビクトルは手押し車で必死に逃げながら仲間の助けも得て約束通りグズの家まで届けた。ところがグズは金を払わない。そこへネルソンがやってきてグズを撃ち殺した。すでにビクトルは警察に見張られていたのでネルソンは追い詰められ、ビクトルを人質に取った。ネルソンは警察に撃ち殺された。
ビクトルも怪我を負って入院した。目覚めるとテレビで昨夜のニュース映像が流れており、そこには自分も人質として映っていた。有名になった気がして、彼は少し嬉しくなった。
<雑感>
パラグアイの映画ってもしかしたら初めてかもしれないけど、レベルが高かった。ビクトルくんはとにかく携帯電話が欲しくてたまらない。録画機能付きなら自分も有名になれる気がするからだ。でもお金がないので、手持ち車で荷物を運ぶ。この真面目な仕事ぶりに好感が持てる。
狂言誘拐のつもりが事故で死なせてしまい、すでに金は受け取ってしまっているのでとにかく死体をどうにかするしかない。そんな大人たちの汚い事件に子供が巻き込まれる話で、80年代の邦画っぽい感じもしたかな。ビクトルとリズの関係がそう見せるのかもしれない。
☆4.0。最近こういう邦画がないなぁ。