ロドリゴ・ソロゴイェン監督によるスペインのサスペンス映画。出演はアントニオ・デ・ラ・トレ、ロベルト・アラモ、ハビエル・ペレイラ。
<あらすじ>
マドリードで老女ばかり狙った強姦殺人事件が連続して起こった。捜査に当たったのはルイス・ベラルデとハビエル・アルファロ刑事。検視の結果、犯人は巨根と判明。老女への強姦殺人事件は捜査開始後も頻発した。ふたりの刑事は老女が集まりそうな場所を重点的に調べた。
するとあるアパートで怪しい若い男と遭遇。ベラルデが突き飛ばされた隙に逃げられ、しかも捜査中の横暴な態度で市民からの告発が相次いだ。アルファロは免職になってしまった。落ち込んで家に帰るとアルファロの妻は家に別の男を引き込んで浮気中。アルファロはいったん落ち着くためにホテルで暮らし、その間に妻は子供を残して出ていった。
ベラルデだけで捜査を続行して、犯人が見栄っ張りで母親に対して愛と憎悪を持っていると推論した。
そこで容疑者を絞っていってひとりの人間を尋問するが、彼は犯人に突き飛ばされたときと同様に失態を犯し、容疑者の前で銃を落としてしまう。容疑者の男に落ち着けと諭され、さらにその容疑者にはアリバイがあった。ベラルデはこの一件で酷く落ち込んだ。
免職中でありながらベラルデが中りをつけた線で捜査をしたアルファロは、またしても起こった同様の手口の事件に遭遇してすぐに応援を頼む電話を掛けた。そんなときに限ってベラルデは女性の家に泊まっていた。すると突然、部屋に残っていた犯人に鈍器で頭を殴られた。
アルファロは死んでしまった。彼は殺される前に犯人の遺留品と思しきものを現場で見つけてポケットに忍ばせていた。遺品の中にそれを見つけたベラルデは、それが教会が出したものだと調べて持ち主の割り出しの協力を頼んだ。犯人と思しき人物はアンドレス・ボスケ。母親は元教師で厳格だったという。
3年後、ベラルデは犯人を見つけ出して撲殺した。
<雑感>
てっきり逮捕するのかと思いきや、最後は撲殺。犯人のアンドレスは、連続殺人の他に母ともうひとりの女性を殺して逃げ、どこかの街でトラック運転手をしていたのだが、3年ってまだ時効じゃないはずなのになぜベラルデは彼を撲殺したのか。
あらすじには書かなかったが、彼は吃音で、対人関係にちょっと臆病になっていた。破天荒なアルファロに憧れる気持ちがあり、彼は少しずつ勇気を出して刑事の職に邁進していたし、好意を寄せてくれる女性とも寝る決心をした。そのときにアルファロの電話に出られなかった。
最後の殺人はベラルデにとって、吃音を乗り越えて犯人に辿り着いた根性試しの最後のハードルだった気がする。
☆3.9。アルファロもまたベラルデを認め、彼になり切って捜査したことが遺留品発見に繋がっているところが泣かせる。
