「ファーゴ」(1996年作品)感想 | 深層昭和帯

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ジョエル・コーエン監督によるブラック・コメディー映画。コーエン兄弟の作品だ。主演はウィリアム・H・メイシー。

 

 

<あらすじ>

金持ちの娘と結婚して関連会社の営業部長に納まったジェリーは、妻の父親に頭が上がらずいつか自分の力で大金を手にしたいと願っていた。そこへ降って湧いたような上手い投資話が舞い込みこれをモノにしたいと願ったが初期投資の75万ドルがどうしても用意できなかった。

そこで不本意ながら義理の父に投資話を持ち掛けたが大金持ちの父親がこれに乗ることはないと思ったジェリーは自分の妻を狂言誘拐で攫わせて義理の父親から身代金をせしめようと計画をした。

ところが誘拐を依頼した男たちが殺人を犯してしまって騒動は大きくなった。犯人からは報酬を倍増するように要求され、金の受け渡しには義理の父が赴いてしまって犯人に殺されてしまった。ジェリーは仕方なく義理の父の遺体を自宅に運ぶ始末だった。

犯人は交渉の際に顔に銃弾を浴び、重傷を負いながら駐車場の警備員も射殺して隠れ家に辿り着いた。そこで仲間割れを起こし、もうひとりの男に殺されてしまった。

事件の捜査には妊娠中のマージが当たることになった。彼女は最初の殺人事件から的確に捜査していき、すぐにジェリーに辿り着いた。彼女はジェリーに最近盗まれた車はないかと訊ねたが、彼は明らかにおかしな態度でごまかし、2度目に追及されたときは在庫を確認してくると言い残して車で逃げ去ってしまった。

マージは目撃情報と自動車の情報からすぐに犯人のアジトを見つけ出し、誘拐犯ひとりの身柄を確保した。犯人の相棒は斧で殺されて粉砕機にかけられているところだった。ジェリーの妻のジーンも殺されていた。すべての元凶であるジェリーも、逃走先で逮捕された。

 

<雑感>

 

後にドラマ化されて大人気シリーズとなっていく元となった映画版。

これは・・・雰囲気のある脚本。営業部長の職にありながら実績はまったくないジェリーがどうしても大金を手にして妻や妻の父を見返したいと勝手に思い込むところなど、勝手にどんどん鬱屈していく人間の心理を的確に捉えてある。

対照的にマージの夫のノームは売れない画家でライバルに鬱屈した心理を持ちながらも基本的に嫉妬はせず、警察署長にまでなった妻を陰で支えている。この夫婦関係の対比なのだろう。

 

細かく見ていけばいくほど味のある脚本。父と娘の関係は、劇場版とは違った形ではあるが引き継がれていく。それにしてこの作品は味がある。ドラマ版は、シーズンを重ねるごとにレベルが落ちていっている。ミネソタ魂をなくしたらいかんよww