結婚をしてこの地に住むようになってから、ずっとお世話になっていた人とお別れする時を迎えました。



誰かに相談することをできない私が、この人の前では、泣きながら話を聴いてもらったことが何度かありました。


助けてもらっているのはこちらなのに、自分は、みんなに助けてもらっているから感謝しているのよと言い続けた人でした。



お家に戻るために迎えにいった病室には、カレンダーがないことに気がつきました。


誰もカレンダーを見る人のない部屋にひっそりと寝るだけの日々を過ごし天寿を全うされたのです。

ふっと
「時のないホテル」

ユーミンの曲の題名が浮かび、カレンダーは時を数える理由のある人のものなのだとわかると、寂しさがやってきました。

お家には、入院した年のカレンダーが掛かったままでした。


ここにも
時がなかったのねと思うと不思議な気がしました。


思い出をたどれば、ありありとその人が立っているのに、時を起てると目の前から去っていく。



そういう場所に立っただけと言ってもよいのでしょうか。