13時30分過ぎ
看護師さんが呼びに来てくれました。
『お待たせしました。娘さんの移動が済みましたので、今からご案内します。』
控え室を出て、同じフロアにあるPICUに向かいます。
『こちらでインターフォンを鳴らして頂いて、娘さんのフルネームと間柄を言って頂ければ、確認がとれ次第中に入れます。』
促されて入ると、ロッカールームと手洗い場の簡素な部屋でした。
『電波を発しない機器は持ち込み可能です。その他は全てロッカーに入れて施錠してください。』
『あとは、こちらで手を洗って頂きます。済みましたら娘さんの所にご案内します。』
『あの…ガウンなどの着用は無いのでしょうか?』
(娘の為にと普段から外出時はマスクをしていたので、着用義務の確認は失念してしまいました…。)
『こちらでは基本的にはガウンの着用はありません。準備が整ったら、こちらのドアから入ります。』
淡々と無機質に案内する看護師さんに、失礼ながら、体が冷える感覚を覚えました。
本当に娘は無事なんだろうか…。。
入室するとあちらこちらで機器のアラートが鳴り響いています。
さすがは小児専門のPICU。
看護師さんと医師の数が大学病院と桁違いでした。
一人一担当ではないか?くらいの人数が居たように思います。
『こちらになります。本日の担当看護師と医師が伺いますのでお待ち下さい。』
沢山の管に繋がった娘。
身体中浮腫んでいましたが、穏やかに自発呼吸をしていました。
鎮静剤の影響で、時折うっすらと呻き声をあげます。
娘に触れたい…。。
けど、今勝手に触れて良いものか…。。
悩んでいると担当看護師さんが来てくれました。
『娘ちゃんを担当します●●です。想定以上に早く手術が終わって、他のお子さんとの移動と重なってしまったので、お待ちいただく時間が長くなっていました。申し訳ございません。』
『いえそんな…とんでもないです…。』
『今は鎮静剤の投与で、体を休ませている状態です。両方の腕にルートが入っていますが、片方は静脈、もう片方は動脈に入っています。ずっと動脈に入っているのは危険なので、PICUを卒業する際に解除しますね。』
『分かりました。あの、娘に触れてもいいでしょうか?』
『もちろんです!聞こえてはいると思うので、ぜひ声をかけてあげてください。あ、配線や管には気をつけてくださいね。』
タオルを少し捲ると、クーリングのためか、保冷剤が当てられていました。
『よく頑張ったね…。苦しいのも、痛いのも、もうこれでおしまいだからね。。よく頑張ったね。無事に帰ってきてくれてありがとう。。』
話しかけていると、私の添えていた手をほんの少し握り返してくれました。
『娘ちゃん嬉しいみたいですね!娘ちゃん、パパとママがよく頑張ったって誉めてくれてるよ~!良かったね~!』
『う"ぅ~あ"ぁ"ぁ"~』
娘が急に大きく呻き声を上げだし、体を何度か突っ張らせるような動作をしました。
『あぁ~痛いよね~。。痛くなくなるお薬をいれようね~。』
カチカチ。
(ボタンクリック式の痛み止めを入れてくれました。)
ものの数分で苦痛な顔が穏やかになって行きます。
『痛み止めは次に入れられるまでの時間が決まっています。このボタンで投薬出来ますので、辛そうだったら入れて頂いて大丈夫です。ご不安であれば近くの看護師にお声かけくださいね。』
『痛み止めの入れすぎと言うのが素人では分からないのですが、何か次までの時間など目安はありますか?』
『間隔を開けずに、入れすぎにならないように、機器をセットしていますので、入れすぎであればボタンを押しても反応はありません。なので、辛そうだったら、入れてあげていいですよ。』
『わかりました。ありがとうございます。後、今持ち込んでいる荷物なんですが、指定以外の物は持ち込めないから持ち帰るように病棟で指示があったので、仕分けをしたいのですが…。』
(ベッドから離れた棚の上に、パンパンのボストンバックがありました。)
『出し入れは必要な物だけしますので、持ち帰りも大変でしょうから、このままで大丈夫ですよ。もしお気に入りのおもちゃがあれば、拭いたりして娘さんにお渡しますよ。』
『そうなんですね。ありがとうございます。一番お気に入りのパンダのぬいぐるみがありますので、そちらをあげて頂けますか。後念のためおしゃぶりもバックの一番上に置いておきます。』
『おしゃぶり助かります!ぬいぐるみはビニールに入れさせて頂きますね。では後程こちらの担当医が伺いますので、しばらくお待ちくださいね。何かありましたら、ナースコールかお近くの看護師を呼んでくださいね。』
機器の管理をする手を止めずに、でもこちらが不安にならないようにか、この看護師さんのお陰で、心がかなり落ち着きました。
長いのでまた分けます。
