「また、こんなに使っちゃった…」
「あれ? たしか1万円残ってたはずなのに…」
そんなふうに、お財布をのぞいてはため息をつく。
家計簿をつけても、無駄遣いをやめようと決めても、なぜかうまくいかない。
——私も、ずっとそうでした。
お金が入ってきても、あっという間になくなる。
どうして管理できないのか、理由が分からない。
この「分からない」が、ほんとうに怖かった。
でも今なら分かります。
これは「自分で選び、自分で決める」という経験を、
あまりにも制限されてきたことの“反動”なんです。
買っているものを思い返すと、
本当に欲しかった大きな買い物ではないはずです。
むしろ数百円の雑貨やスイーツ、
そんな“ちょこっとした出費”が多くないでしょうか。
そのとき心の中では、
「誰にも口出しされず、自分で選んで手に入れられた!」
——そんな解放感や達成感を味わっているんです。
このループから卒業するために、
私がやったことは、ただひとつ。
買い物のたびに、こう自分に聞くこと。
「これを買うことで、私は何を自分に与えるんだろう?」
コーヒーを1杯買うときも、
「今日はこの香りでほっとしたい」
そう思えたら、迷わず買う。
でも受け取る理由が浮かばないときは、
きっと他のことで息苦しさを感じているサイン。
そのときは買わずに、自分の気持ちをほどくことを優先しました。
こうして「考えること」と「感じること」を重ねるうちに、
少しずつ浪費は減り、お金の管理ができるようになりました。
あなたは悪くない。
ただ、“当たり前”の自由を奪われた中で、
一生懸命に生きてきただけなんです。
だから、もう自分を責めないでください。
少しずつ「自由に選び、自由に決める」練習をして、
お金も、心も、ゆたかさに慣れていきましょう。
その日が来ることを、私はいつも願っています。