家の庭には柿の木が昔から生えている。
私の部屋のすぐ前にあるその木は、四季の移ろいを私に美しく魅せてくれていた。
春は薄緑色の若葉が次々と芽吹き
夏は青々と茂った葉が日差しを受けてきらきら輝き
秋は橙色に色づいた柿の実を実らせ
冬は寒々とした雪の世界に凛と立っている
窓のそばにはいつも四季があって、その木を見ているだけで心が癒された。
ある時、毛虫のせいで葉がぼろぼろになりもうダメかと思われたけれど、
毛虫がいなくなるとあっという間に若葉を芽吹かせていき、再生していく姿に
植物の生きる力の強さを教えてもらった。
その木の木陰がつくる、美しさや神秘さにも魅かれてた。何度も写真を撮った。
どんなにつらい時でも、窓のすぐ外に見える緑の美しさに癒されていた。
その木は私の心の拠りどころであった。
ところが、その木は切られてしまった。
家に帰ってくると、柿の木がほとんど枝を切られ、なんとも無残な姿になっている。
青々と茂っていた葉も枝も少しを残してほとんど無くなり、高さもあった木が1階ほどの高さに切られていた。
隣から我が家が丸見えになるほどにすかすかになっている。
驚いた。かなり動揺した。なんでこんなことに。
その日の朝、人に頼んで家の敷地からはみ出しているところを切ってもらっているのは知っていたが、
ここまで切られるとは。
聞けば頼んだ親もこんなに切られるとは思っていなかったらしい。
家族全員が動揺していた。しかし私ほどではなかっただろう。
何せ私は自分の部屋から見えるオアシスを失ってしまったのだから。
窓から見えるその無残な姿を見ていると涙が出てきてしまうので、
カーテンを閉めてなるべく見ないようにしている。
その姿を見てから、なんだか心が折れてしまった。仕事が大変な今こそ癒してほしい時だった。
こんなにも木を失ったことが私の心を動揺させることに自身も驚いている。
それほどまでに私はあの木を愛していたのだ。
どんなに強く願ったって、すぐには元に戻らないだろう。
それでも、できるだけ早く元の姿をとりもどしてもらえるように、
あの木を気遣ってあげようと思う。
いつも私の心を癒してくれたお返しに。