あの

ワールド2016



 


勝ちたくて

勝ちたくて


“俺、ぜってーやってやるからな”

“見てろよ”


そう思いながら

苦しい練習を重ねてきた日々




前シーズンに

ケガと病気に見舞われながら逃したタイトル


奪還するべく








が…

勝利は彼の指の間をすり抜けて行った

 

 




その瞬間

氷にタッチした彼の姿が


いまだに鮮明に

脳裏に焼き付いている



とても美しかったから








 

 

 



思えば


足は

スケート靴の紐をキツく縛ることで

痛みを麻痺させながらの状態だった






そして

Tシャツを着て練習する彼を…

私はこの時初めて見たんだった







大変だったね

ゆづ







決して彼は

そう口にはしないけれど




 

 

何もかも

すべてその身に呑み込むような



あらゆることを静かに“受納”するような

そんな姿が印象的だった




 




直後に出された

ANAさんからのメッセージ


 

 


お疲れさまでした。


記憶に残る一年を

ありがとう。




あなたと出会って、もうすぐ3年。


どんなに厳しいコンディションであっても、


機内や空港で会うあなたは、いつも前を向いていますよね。


でもその裏で、ハードな日々が続く一年でしたね。


仙台やトロントでの練習は、深夜まで続く。 


優勝した翌日も、休むことなくリンクに上がる。


あの笑顔からは想像できない努力と苦闘の毎日が、


驚異的な世界最高得点、グランプリファイナル3連覇、


全日本選手権4連覇につながり、


私たちに大きな感動と勇気を与えてくれたのだと思います。


あなたを支えはじめて3度目のシーズンは、


私たちにとっても、忘れられないものとなりました。


本当にお疲れさまでした。そして、ありがとう。


これからもファンのみなさんと一緒に、


世界の舞台で羽ばたくあなたを応援していきます。

 

 





新聞一面を使っての

あたたかい言葉



そこには

ANAさんだけしか知り得ない

彼の影の姿が綴られていました





寄り添いの気持ちと

労いの心


いちアスリートとして讃える精神滲み出る

胸に迫るメッセージでした




そして


私たちファンまでも…

そっと抱きしめられたような


そんな感覚になったのを憶えています








彼の

アスリートとしての最大の目標


平昌五輪



いよいよ迫りくるこの時期に

ANAさんから新たなメッセージが





 


何度も 何度も


何度も 何度も繰り 返す同じ動き




それはまるで  不純物を少しずつ捨てて



世界で最も純粋なのもを作り上げていく作業に見えた






そうか


 

 


奇跡はこうやって作られていたのか







見習わなくちゃな



 

 


HELLO

BLUE,


HELLO

FUTURE




―ANA―



 




静かなナレーション

幻想的な音楽


少し暗めにエフェクトをかけた画面


 


彼の

ただそこに舞う姿が


より強調して見える




氷上を舞う蝶のような

ゆづが美しい







淡々としているようで


積み重ねる日々の貴さを

見る者に瞬間的に悟らせる



 



“奇跡”の土台にあるもの





花には

根っこがあるということ


木には

幹があるということ




外には内が

果には因が


 


表があれば


 

必ず裏があるということ






築かれる確かな礎





一つひとつ

その身に刻んでゆく作業


 


気の遠くなるような時間



地道な努力と

それに耐えうる強靭な精神がなければ


決して成し得ない





映像に込められた

強烈なメッセージ




 





ここは…

滑走路を飛び立つ瞬間とリンクしたな


 


風をきって




渾身のエネルギーを迸らせる



 




その刹那



 

 

轟音と

地鳴り


響かせ




時空を超えるが如く



大きく

地に跡を残しながら


 




飛び立つ



 


飛沫は

彼自身の残像のようで



そのひと粒ひと粒


ミクロンの世界の結晶までにも

彼の魂が宿っている




そんな風に見えます


 





着氷は着陸かな


 

ともすれば

その両手は翼




極めた者しか知り得ない

極限の景色からの帰還




それを支える

バランスのとれた体(てい)の造形美


より一層際立つ瞬間







かわいいw


 



いつも感じるけれど、


撮影カメラが入っている時に

彼がおどける姿…





彼はこうして、

自らのバランスをとっているんじゃないかと思う



 


ギリギリの状態まで追い込んだ精神を

解放しているんじゃないかと





まるで

外の空気を吸うように


 


内へ内へと

向かっていたものを


解き放つ




 

体全体から

計り知れないエネルギーを

放射させるように


 

一気に

極ジャンプしているように見える時がある


 




でもそれは表の姿で…


 

 



実は、

神威的なものを隠している


 

私には

そんな風に映る時がある







その拳には

何が握られているのか


 

込める思いは

そのままに



 

秘めたる力

覚醒の時


 

 



開眼


 

 



 

 

 

 

“すべてのひとの滑走路になろう”

 



彼の演技が

人々の跳躍のきっかけになればという


そんな意味も込められているのかな






まるで

ANAさんから彼への激励のようで



今日から明日への

今年から来年への


ソチから平昌への“架け橋”のよう

 

 


 



近くで見てきたからこそわかる

共に走ってきたからこそわかる



そこにある確かな礎が







ANAさん、

素敵な映像をありがとうございました


涙が出ました







そしてゆづ


願わくば

私たちファンは


あなたが高く飛び立つ

“滑走路”になりたいと…


その飛躍を支えるひと粒にでもなりたいと

思っています






今日も応援しています。









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