アンバ茶園でウヴァの香りについて学ぶ | スチュワード麻子オフィシャルブログ 「ティータイムのある暮らし」

アンバ茶園でウヴァの香りについて学ぶ

 

アンバ茶園は私がこれまで訪れた茶園とはかなり違います。

今回のスリランカ旅行に関して私がこれまで挙げた写真のように、きれいに整えられた広々とした茶園とそこに点々と散る茶摘みの人たち、というような風景はここには見当たりません。

どちらかというと、森がそのまま残してあるようなのです。

 

着いた日はあまりお天気がよくなかったのですが、茶園の中を歩いて一番端まで行きました。

素晴らしい見晴らし、雲海が目の前で次々にその姿を変えていきます。

途中、アヴォカドの木や

胡椒の実がなった木、他にもシナモンやコーヒー、ヴァニラの木などが植えられています。

これらも含め、別の木(レギュームなど)と一緒に植えるのは、そうすることでそれらの木々や植物から出る窒素などが土壌に残るからです。オーガニックでお茶を作るというのは大変なことだと思いますが、化学肥料なしで生態系を変えないために様々な努力がされているんですね。

 

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そしてそれらの木々に囲まれるようにして、森の中の下草のように茶樹が植えれられています。

自然農法といってもよいですが、森林農法という、自然の環境を変えずにその中に茶園を作っていくやりかたです。

元々茶園があった場所ではあるので、茶樹はほとんどが樹齢100年を超えていたそうですが、今はその木から挿し木法で茶樹を増やしています。

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苗木を育てるナースリーです。

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ここではカッティングという挿し木もありますし、種でも木を増やしています。

種で木を増やすのは大変なこと、なぜかというと種から生まれる茶樹はみんな個性が違うため、一斉に芽が出たりしないからです。

手摘み、少量を丁寧につくるアンバならできますが、大量にお茶を生産する際には難しいのです。

 

既に摘んだ茶葉を萎凋させている様子。

今日はもう夕方ですし、雨も降っているので茶摘みは明日見せていただきます。

 

ここで学んだことのひとつ、ウヴァ特有のメンソールフレーバーがなぜできるのか。

この植物を探して引き抜いてくれて、根の匂いを嗅ぐと、あの、ウヴァのピークシーズンに香るメンソールフレーバーが感じられました。

とても驚きましたが、要するにウヴァのこの土にはこの香りがする成分が含まれているのです。

だからといって、ここに植えた植物全部にその匂いが入るかというとそうではない。

茶を含めた一部の植物のみがこの成分を吸い上げるのです。

上の写真の手に持たれた植物がその一つ。

でも、ほんのわずかの間に根についた土が乾いてしまうと、もうあの香りはしなくなっていました。

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次には訪れたのは牛小屋です。

イギリスのファーム育ち(いや、育ってないけれど、実家の狩猟場には沢山の動物がいたので)の私は牛くらいじゃ驚かないですが、この牛たちは屠殺されるところを救われた牛たちです。

アンバでは、救った牛たちをここに飼って「お仕事してもらっている」のです。

「お仕事」とは、食べて、排泄すること!

排泄物は小屋の中を通っている溝を通って外のタンクに流れます。

貯められた排泄物はその後処理されて、管を通って肥料として畑に流れ、発生したメタンガスはキッチンで調理する際の火として使われます。

 

屠殺寸前だったために人間不信になった牛たちもいますが、ここで生まれた子牛たちは平気。

お母さんだけが、心配そうにこちらを眺めていました。

 

聞けば聞くほど本当に全てを考えぬいているアンバ茶園。

話を聞いてはいましたが、本当に素晴らしい取り組みです。

ここで作られるお茶、どんなお茶があるのでしょう・・・・・

テイスティングはこれからです。