ダージリン グームティ茶園のアショックさんと ロンドンでアフタヌーンティー
この夏は懐かしい人との再会がいくつかありました。
そのひとつが、私が友人の紅茶研究家、ジェーン・ぺティグリューさんと訪れた、インドのダージリンにある茶園、グームティ茶園のアショックさんとの再会。
私がグームティ茶園に滞在させてもらったのはもう5年も前になります。
本当に心が洗われるような、これまでに訪れた中でおそらく最も美しい場所でした。
コルカタでは、アショックさんのご自宅にも泊めていただき、本当にお世話になったのです。
この時の旅は、友人のジェーン・ぺティグリューさんと、アメリカからはノーウッド・プラットさんも一緒でした。おふたりとも紅茶関係の著書も多い大先輩。
奥様もとてもエレガントな女性でしたが、アショックさんは、うまく言えないのですが、何か大きな精神的パワーを持った人で、ただそれがとてもとても静かな状態で彼の中にあるので、多分よく知り合わないと気がつかないかもしれません。
私はアショックさんと一緒にいると無条件に落ち着きます。
何かを喋っても、何も喋らなくても、です。
毎朝、茶園の中のマネージャーズバンガローの一部屋、ヒンズー教の祭壇のある部屋で、祈りをささげるアショックさんの声が聞こえてきたのをよく覚えています。
滞在中に交通のストライキがあり、予定通りに次の茶園に行かれなくなり立ち往生した私たちを、ドライバーをよこしてすぐにまたグームティに連れ戻してくれたのもアショックさんでした。
その後、アショックさんとお会いする機会はありませんでしたが、数年ぶりで彼がロンドンに来るという連絡をもらって、この日を楽しみにしていました。もちろんジェーンも一緒。
この日はジェーンがよく利用するチェスターフィールドホテルでのアフタヌーンティーです。
お茶は私がダージリン、アショックさんはウーロンを選びましたが、彼はとても注意深くそれを飲んだ後、それがやや単調で、期待通りではない、ということを、まったく不満らしくなく、事実として淡々と、でもはっきりと口にしました。
そう言えば、彼が不平不満を言うのを聞いたことはなく、悲しい出来事でも淡々とそれを受け入れ、良いことに対する感謝の言葉を口にするほうがずっと多いのを思い出しました。
ちなみに、グームティ茶園のダージリンウーロンはとっても美味しく、私は直接茶園から送ってもらったくらいです。
サンドイッチはフレッシュでパンも柔らかく、特に縁にナッツをまぶしてあるのが美味しくてよいアイディア。
スコーンはふわふわとやわらかい食感です。
かりかりタイプではないですが、三段スタンドで冷たいままサービスするならこちらのふわふわタイプの方が美味しく感じられますね。
温かくしていないのにこれだけ美味しいのはお見事、と思いました。
ケーキは、ごくスタンダードな内容。それほど凝っているわけではありませんでした。
ちなみに、この日フルアフタヌーンティーを注文したのは私だけ。
アショックさんもジェーンも、サンドイッチと、お菓子をちょっとつまんだだけでした。
そう言えば、インドでもそうでした・・・・・・。
ジェーンは食べ物にアレルギーがあるので、私がお毒見役となり、まず色々食べて何が入っているかチェック。そして彼女が食べられないものを全部平らげる、というパターンです。
ジェーンと一緒に食事によばれて彼女がアレルギーのことを告げると、たいていの主催者は恐縮するのですが、
「いえ、ここにいるAsakoが全部食べますからご心配なく」
と言うのがよくあることなんですよね。
そして、とってもうれしかったのが、グームティ茶園のファーストフラッシュ2種類を、アショックさんが自ら持ってきてくださったこと。
今年はとてもよい出来だったと言う彼の言葉どおり、フレッシュで本当に美味しいお茶でした。
ファーストフラッシュは、よく飲む方はご存知だと思いますが、ある意味でとても強いお茶だと感じるときがあります。
水色も薄く、軽い感じに見えて、香りには大変な強さを持つものがあり、あえてかなり軽く淹れるという知り合いもいます。
いただいた今年のグームティのファーストフラッシュは、これまでより柔らかい感じなのが特徴。
渋みがかなり少ないです。
早速先週のレッスンで生徒さんたちにテイスティングしていただきました。
このように、緑の丘がつらなるダージリン。
激しい雨の後、地面から立ち上る土の匂い、工場に近づくとふわり、と漂ってくる、萎凋された茶葉の、青々しい香りと、肌にしっとりと染み込むような朝夕の霧。
最初に封を切るとき、そういったもの全てが混沌としたままに蘇ってきました。
五感で感じるそれら全てを、香りとともに思い出すことができる、貴重な一杯のお茶でした。





