世界9位、イギリス1位  ディナー・バイ・ヘストン・ブルーメンタール | スチュワード麻子オフィシャルブログ 「ティータイムのある暮らし」

世界9位、イギリス1位  ディナー・バイ・ヘストン・ブルーメンタール

先日発表されたSan Pellegrino Worlds 50 Best Restaurant Awards 2012で、見事英国で1位、世界で9位に選ばれた、ディナー・バイ・ヘストン・ブルーメンタール。

イギリスに住んで彼の名前を目にしない日はないくらいに有名なシェフのヘストンが、ロンドンにオープンしたこの「ディナー」、ずっと行きたいと思いながら、何となく時間が過ぎてしまっていました。


ちょうど今年は私たち夫婦の結婚20周年に当たるのですが、息子と娘が大事な試験を控えているためどこにも行かれないし、せめてお食事でもしましょうか、という話になった際、思いついたのがここでした。


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実は20年前のこの日、ウェディングレセプションをしたのが「ディナー」があるマンダリン・オリエンタルホテル。当時は「ハイド・パーク・ホテル」という名前でした。


私はまだ日本に住んでおり、両親はオーストラリアでしたから、私はブライズメイドの友人と前々日から泊り込んで、ここで全ての支度を済ませました。

母が着た、総レースのウェディングドレスはお直しして日本から持ち込み、もう一枚のドレスはロンドンで作ってもらって、ブーケやヘッドドレス担当のフローリストもヘアメイクも全てがここのスイートルームに集まって、全部の支度を整えてもらったのがここでした。

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イギリスの慣わしで、前日から花嫁花婿はお互いに会ってはいけないと言われ、当日はブライズメイドたちと私の家族がこの部屋で支度を済ませて、メイダ・ヴェイルの教会に向けて出発しました。


花嫁と花嫁の父は最後に到着するため、父と私だけが最後に部屋に取り残され、係の男性にホテル入り口まで連れて行かれました。


目の前がハービー・ニコルズというデパート、少し歩けばハロッズ、要するに非常に人通りが多く、観光客も多い通りにあるこのホテル。ウェディングドレスで外に出るにはやや勇気が要りましたが、一番仰天したのは、トップハットをかぶったドアマンが、おもむろに私たちを押しとどめ、いきなり真っ赤なじゅうたんを出して、歩道にくるくる、っと敷いたことでした。


当然人の流れは中断され、どんどん人が集まってしまいます。

最初の一歩を踏み出すのは非常に勇気が要りましたが、外に出るなり、知らない人から拍手の嵐。

写真まで撮る人がいて、観光客のアトラクション状態、やっと車に乗り込むと、父が深いため息をついたのを覚えています。


式の後にこのホテルに戻り、レセプションを行い、その後も何かあると(例えば、4歳か5歳だった娘を初めてアフタヌーンティーに連れて行ったのもここ)時々戻ったりはしたのですが、最近はそれも途絶えていました。

そんなわけで、「ディナー」でディナーの予約をしたのが、数ヶ月前。


前の週に、このアウォードが発表になったので、本当に予約が取れるうちに行っておかれて良かったと思いました。

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クロスなど敷かれていない、ごくシンプルなセッティング。

中は本当にカジュアルで、気軽に来られる感じです(予約が取れればですが)


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夫は、何度もプレスで紹介された「ミート・フルーツ」

ここのお料理はイギリスのとても古いレシピにインスピレーションを得て作ったものなので、これは1500年頃のレシピだそうです。

鮮やかなオレンジ色のマンダリンオレンジ、でも中はチキンレバーのパルフェ。


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中はこんな感じです。

思ったより軽くて食べやすい感じ。

グリルド・ブレッドにつけていただきます。

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私は「バタード・クラブ・ローフ」、1714年頃のレシピを選びました。

カニはローフの中にも、載せてある2種類のサラダ仕立ての中にも入っているのですが、それぞれに数の子(黒くてキャビアだと思ったのですが、メニューにはHerring roeとなっている)や、細かく刻んだきゅうり、ピックルド・レモンなどの食感が取り入れられて、バランスが絶妙でした。


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夫はビーフのリブアイをメインに選んだのですが、それは・・・・・


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この「トリプル・フライド・チップス」が食べたいから。

彼はこの「トリプル・フライド・チップス」を家で自分で試したりもするので、ヘストンが作った本物を食べるのだと張り切っています。

男の人の料理って、途中をはしょったりしないで言われたとおりに作りますよね、うちの夫も本当に油の温度をチェックして、3回に分けて揚げる合間に、それを冷凍庫に入れたりするんですよ!

もちろん、結果はちゃんと出て、すごく美味しいんですが、妻の料理は毎日ですからとてもそんなことできません。



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付け合わせのケチャップ。ケチャップといっても昔は今のようなトマトのベースではなかったそうで、これもマッシュルームなどが入ってとても美味しいソースでした。


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私は「パウダード・ダック」にスモークしたフェネルと、unbles(臓物の一種ですね)を付け合せたものを。
かなりのボリュームです。

おそらく日本の4倍量程度だと思います。


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そしてお楽しみのデザート。

夫は、食事の最初にオーダーしなくてはいけないという、これも有名な「ティプシー・ケーキ」を。これ自体は1810年頃の、暖かく柔らかく、ミルキーなプディングですが、横に添えられているスピット・ロースト・パイナップルに時間がかかるのではないかと。串焼きっていうのでしょうか、長い串にさして、ぐるぐると長時間ローストするのです。
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私は悩んだ挙句、1830年頃のレシピ、「ブラウン・ブレッド・アイスクリーム」に。

実は、夫の母が作ったことがあり、それはとても美味しかったのです。

何と、ヘストンのはアイスクリームにはおそらく一切砂糖を使っていないのではないかというくらい、甘さゼロ。

塩気を感じるだけです。

その代わり、下に敷かれているのはソルテド・バター・キャラメル、ペア、そしてモルテッド・イーストシロップ。

イーストは本当に生イースト特有の匂いがちゃんとあり、それがキャラメルの塩気、アイスクリームの塩気と一緒になって、実に不思議な味です。

なのに美味しい。


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後ろのテーブルでは、サービススタッフがヘストンの名物(?)、液体窒素で作るアイスクリームを作っています。

ぐるぐるとハンドルを回し、中に液体窒素をたらしていくのです。


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呆れたことに、夫はもうひとつデザートを頼むと言う!

「クエイキング・プディング」は1660年頃のレシピ、ペアとペアワイン、キャメルとライムの滑らかなプディング。

にこやかに注文を取りに来たスタッフに

「正直に答えてね、これまでデザートを2つも注文した人っています?」

と聞くと、若いフランス人の彼は思わず言葉に詰まってしまいました。

夫が平気な顔で

「それはもう、毎日いるでしょう、そんな人」

と言うと、にこにこしながら

「はい、毎日いらっしゃいます」


嘘ばっかり!


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驚いたのは、食後の飲み物を聞きにきいたスタッフが

「お客様は、お仕事柄、やはりお茶のメニューをご覧になりたいでしょうね、コーヒーではなくて」

と、目配せしながら言ったこと。

???何で、私がお茶関係者だと分かるの???

予約を入れたのは夫だし・・・・・。


一流の店に行くと、よくこういうよくわからないことがあります。

何で知ってるの?というようなことが、何故か伝わっているんですが、これはびっくりしました。

でも、これ、というお茶が見つからず、結局レモングラスのハーブティーに。

とっても美味しかったですよ。

食事が終わったのは真夜中過ぎ、気がつけば食べ物の話しかしていない私たち夫婦。

ま、20年も経ったらどこもこんなものですよね!

会話が途絶えないだけ、よしとしよう。