#2 3200円 | アスタリスク松永のブログ弐

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続!アスタリスク松永

#2 3200円

よく言えばレトロ、築47年のアパートに帰ると決まって家の中からコロコロ音がする。
地元の大学を出て、自立のためにはじめた一人暮らし。思ったよりも愛しくて、切なくて、心折れそうで、そんな
歌ができてしまいそうになる。そこで国仲ジャンガと同居を決めたのだ。国仲ジャンガは3200円で売られていて、
小屋やえさ箱などを合わせても8000円で収まった。初日は慣れない二人ビクビクしていたが、ちょうど6日経った
ある日宣太より先にジャンガの方がこちらに歩み寄り、人のくせにビクビクしている宣太を見下し、
えさを要求する仲になった。宣太は意外と小動物に弱かった。昔耳を齧られたわけではないが、すばしっこく
動く彼らにいつしか恐れをないしていた。
ジャンガという名前は、レシートに記載されていたジャンガリアン・ハムスタ-の文字が入りきらず
ジャンガで印字がとまっていたのをみて、そのままそれを採用した。
ジャンガを買い始めた当初、中央図書館で生態を調べたら夜行性とあったので、昼間は寝ているかと思いきや
宣太が帰ってくると起きて、宣太が寝る時間になると自然と小屋にはいっていく変わった性格だった。
そんな性格のせいか、自然と二人仲良くうちとけていき、
デビューシングル「愛しくて、切なくて、心折れそうで」の発売はジャンガのおかげで、見送ることになった。
本日のディナーはジャンガが煮干とニンジンとキャベツ。宣太がほうれん草とベーコンのパスタ、残りのにんにくを
フォークでうまくすくって食べると、雑誌を眺めながら壁沿いのソファーに横になった。