#1 左乳首 | アスタリスク松永のブログ弐

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#1 左乳首

駅前の開発工事ラッシュで込み合う静岡の駅前を少し左に歩くと
騒がしい駅前とは違う静かな小道が広がり、もう少し進み右に曲がると
駐車場のないコンビニエンスストアが現れる。
隣の空きスペィスには看板が立てかけてあり、
駐車禁止や罰則的な注意事項が赤字でくっきり書かれていて
その上からスプレィで書かれた髑髏の絵がカラフルな色でそれとなく描かれていた。
よく晴れた夏の日曜日、仕事を終えた国仲宣太(22歳)は髑髏の看板の前で
買ったばかりの週間馬達を片手に大きく欠伸をした。
「ああ~まだ左乳首が痛むや」
なんてマイセンを吸いながら、独り言をあげていた。
駅前のブックストア・ヨムでバイトをしていたが
大学を卒業と同時にこの会社に転職。今月でちょうど3ヵ月半になる。
簡単に起業したものの、仕事がなくて辞めていく業界の流れの中
人を雇えるまで成長したが、さすがに社員はむずかしく
ていどよくアルバイトを模索していたところ3ヵ月半前に入社したのが宣太だった。
何でも屋の事務所のホワイトボードにはリピーターこそ命と書かれ、その下にフニャフニャな文字で
とっちゃん(店長)、限定発売のフィギア購入おもちゃや並び、ファンタジアの主人公レベルあげ(10)。
キムさん(店長の嫁)、3丁目佐々木さんの話し相手、そのまま直帰。
そして宣太、子守と電話番、と書かれている。業務によって料金体系は異なるが宣太の子守は1時間2000円。
今回出張費が800円がかかって4時間で8800円、電話番は今回かかってこなかったのもあってサービス。
子供につねられた左乳首が痛いが、子供が静かに昼寝でもしてくれれば
なんてことない4時間、この仕事が宣太は気にいっていた。