十月
大学生活。
それは様々な刺激で満ち溢れる日々。
後期の始まりは、あっそうかにも素敵な閃きを運んでくれました。
ある日の友達の呟き
「夢は?って聞かれれば夢として本当にやりたいのってミュージシャンしかないねんなぁ」
!?!?!?
ほえ~~~~~~~~!?
これはかなり衝撃的な発言を耳にしてしまいました。夢がミュージシャンだと言えるって凄くないですか????
サッカー選手、野球選手、芸能人。どれもみんな画面の中で精力的に活動する、少年の憧れでした。そんな輝く姿に子供達は胸を踊らせて彼らを夢として語る。でも、大人につれ辛い現実を目の当たりにし、いつしかその口から希望の言葉は消えていく。たいていの大学生の夢は、公務員か考えていないかのどちらかです。
そんなくすんだ灰色の人達の中で、ミュージシャンを語る彼らはまさに昔の子供達そのものでした。
自分の憧れに対して真っ直ぐで、一切の穢れが見えない。
いいな。って思えました。
羨ましいな。とも思いました。
でも、自分が昔から続けてきたことは勉強しかない。それは決して綺麗なガラス細工のような夢ではなかった。
そんなある日、アップテンポな曲を傍らにノリノリでブログを書いていると、昔自分が書いていた小説のことを思い出しました。
デスノートのパクリや、ドラゴンと旅をするベタベタの話で、小説と呼べるほどのものではありませんが笑
小説を書くことを誰かに教えられたわけではないけれど、書くことが自然と習慣になっていて、自分の中で膨らませた空想を形にするのが好きで好きでたまらなかったあの頃。自分で書いた話の続きに自分でワクワクするうちに夜が更けていて、母によく怒られていました。
そして、今。
去年の夏に始めたブログを何だかんだで今も続けてる。子供の頃からずっと書き続けている。
あっそうか。自分が好きなのは書くこと。だったら、その生気を大切にして一生の相棒にしたい。万華鏡のように煌めく夢を持ち続けて生きたい。
そうして自分の夢が作家になることに変わりました。作家と言っても、ちゃんと他に仕事はしますし、ブロガーでももちろんいいんです。ただ、自分の信じる正しさを書くという形で世に発信したい。それで、何かが変わる人がいるなら、自分のどんな日々でも綴りたい。そして、自分もその人からまた勇気をもらいたい。
その時、ふと思い出しました。
かつてあっそうかの心を縛っていた沼を。
自分の一部を完全な暗闇に引きずりこんで無かったことにする。役に立たなければやらなかったのと一緒にしてしまう、自分に課した無意識の制約。
確かにこの秩序は正しくて、この先で役に立たなくなる可能性のあることへの時間の投資は無駄かもしれない。回り回って自分の役に立つという考えもありますが、それも確率的にどれくらいかは分かりません。
でも、作家にとってその沼は?
作家にとって沼なんて存在しない。
自分にとって意味があるか判らないことも大切だって思うことなら本気で挑んで本気で文字にする。心を込めた作品なら、きっと誰かの心に届く。それで肩の荷が下りる人がきっと誰かいる。
ならそれで満足です。
自分の中でいずれ価値がなくなって沼の底へと消えてしまったとしても、自分が誰かの役に立てるならこれほど幸せなことはない。
だから、今の自分の価値観が変わることで無駄になってしまう夢も努力も時間も、その時にあっそうかがその姿を本気で形にして誰かに伝えたなら、きっと無駄になんてならない。もう怯えることはない。
だからここから始めよう。
あっそうかが過去の縛りを断ち切り、将来に希望を見出だした瞬間でした。