【メモ】元田厚生氏のアソシエーション論 (1) 「労働の整合関係」 | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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「資本制経済の計画的性格と連合的性格」 

元田厚生 経済と経営 36-1(2005.10)

《マルクスは資本制システムの特質,つまり人類史的に見た特徴を生産関係的には「剰余価値の搾取」,交通関係的には「生産の無政府性」としてそれぞれ捉えている。後者を. よ. り. 正. 確. に表現すれば「労働の整合関係の無政府性」となる。多数の人々に. よ. る. 生. 産. は. 必.然. 的. に. 労. 働の分割(いわゆる分業)をもたらすから,その生産が継続するためには分割労働相互間の整合性が計られなければならない。これが「労働の整合関係」の意味するところである。》

社会の諸欲求と、各労働過程の成果である使用価値の量的かつ質的な対応関係とに規定された労働力支出の社会的配分が「労働の整合関係」である。

 

例えば、最終消費財として自家用車がX台必要な時(諸欲求への対応)、素材としての鉄はYトン必要であり、そのためには所与の労働の生産力の下でZ時間の労働力支出が必要etc., 同様に、冷蔵庫用の鉄にも建築資材としての鉄骨用の鉄にも同様の整合性が求められ、他のあらゆる労働の生産物・有用効果に関してもそうであるから、すべての具体的労働について同じことがいえる。こうした整合関係を社会全体において満たすべく労働の社会的配分が行われるのである。

 

それは、どのような形態の社会においても必要であり、曲がりなりにも満たされてきたことであるが、資本主義の場合、それが非計画的に、事後調整的に、即ち「無政府的」(僕自身の表現では自然生成的)に行われているのである。

マルクスが資本制システムの交通関係をその無政府性において特徴づけるとはいえ,その際,作業場内部における資本の専制的計画と市場における暴力的調整の二面から捉えていること,つまり 資本制システムの交通関係については,整合関係を「作業場内部」における整合関係と「社会内 部」における整合関係とに分けた上で,その全体について「無政府性」と性格規定しているのである。

この点は、個人的には、十分理解できていなかった。整合関係については、社会的総労働の分割と編成についてしか、関わらないかのように考えていたと思う。作業場内分業には関係がないと明確に判断していたわけではないが、あえてかかわらせて考えることをしてこなかった。不明のそしりは免れない。

 

指摘を受けて考えるに、これはもっともであると思われる。この指摘が重要なのは、引き続き元田氏が展開しているように、作業場内での計画化の進展が、将来社会における社会的分業総体の計画的編成と運営の物質的前提となるからである。

 

勿論、それは、トップダウン的・官僚制的な特質を持つ、資本主義的計画とそれに基づいて作業場内での整合関係の実現する仕組みのことを指しているのではないだろう。当該論文では、明示的言及はないが、そのような仕組みが行き詰まり、資本主義的諸企業自身が自己批判的に、そのトップダウン的なガバナンスをある程度修正せざるを得ない事実と、そこで追及されている修正の方向性・内容を指していると考えるべきだろう。

(つづく)

 

ANARCHY HARDER THEY COME