というエントリー(「転載もの」欄に所収)に対して、Twitter上で次のようなご指摘をいただいた。
@assocy 失礼します。輸出企業への消費税の還付金(輸出戻し税)は消費税納税額計算がマイナスになっただけのことで企業の利益には中立ですよ。以下ご参考に→「輸出戻し税は大企業の恩恵」の嘘 消費増税論議の障害になる』http://bit.ly/1jO0IKT
紹介していただいたリンク先は、高橋洋一氏がZAKZAKに掲載した文章。かなり錯綜した文章で、取り扱いが難しいが要点をつまむと。
《そもそも輸出戻し税とはどういうものなのか。そして輸出企業が恩恵を受けるということがありえるのだろうか。》
ま、問題設定は、これでいいっしょww
《消費税の仕組みから振り返っておこう。企業の支払い消費税は、税率×(売り上げ-仕入れ)である。これは、「税率×売り上げ-税率×仕入れ」となり、消費者が売上時に払い企業が受け取った消費税から、企業が仕入れ時に払った消費税を差し引いたものとも言える。消費税はすべて消費者に転嫁されるので、実は税率がいくらであっても、企業の付加価値は変わらない。》
最後の一文が意味不明、誰が「税率が上がったから、付加価値が変わる」などと言っているのだろう。そんな人いないでしょ。
ゲンダイの記事でも、「輸出企業のもうけ」とされているのは、事実上の“補助金”としての「還付金」なのであって、「付加価値が変わる」などという話はどこにも出てこない。高橋氏は、この記事を直接と取り上げているわけじゃないので、これは高橋氏への批判というより、高橋氏の上の一文はゲンダイの記事に当てはまりませんよ、という念のための指摘ね。
《消費税は消費地課税主義になっているので、輸出の場合には、日本の消費税としては、企業が受け取る消費税はゼロとなって、企業が仕入れ時に払った消費税が還付されることとなる。
しかし、企業は、受け取った消費税分から支払った消費税分を引いた金額を納税(マイナスになれば還付)するため、還付されたからといって収益に変化はない。》
仕組みとしてはこの通りだろうな。
《共産党もさすがに、「輸出戻し税の問題は、消費税の還付制度そのものにあるのではなく、大企業が下請けに消費税分の単価引き下げを押し付けていることにある」と、輸出戻し税が消費税の問題でないことを認めている。》
この共産党の指摘は、正しいし、この問題の本質はまさにこの点にある。高橋氏は、それがまったく理解できていないから、自分に不利な共産党のこの指摘を、まるで自分の正しさを証明する事柄のように扱っている。
なんだ、高橋洋一ってこんなレベルだったのか…
ゲンダイの記事にしても、この還付制度自体が問題の要因だと考えているわけではない。
《この通りだったら、何も問題はないが、実態は大違いだという。
「仕入れの際、下請けに消費税分を支払っている大企業などまずありません。だから戻し税は国の補助金と変わりなく、リベートみたいなものです」(元静岡大学教授の湖東京至氏)》
制度それ自体が中立的であっても、極端に大きな市場市場支配力を持つ企業にとってはそれが有利に作用するという話なのだ。そして、そのような不公平を放置することには、政治的意味があるのかもしれないという推測が加えられている。
で、以下、モデルによる考察。(長いので別稿で)