【資料集】〈拘束委任型派遣制協議体〉の研究のために | 草莽崛起~阿蘇地☆曳人(あそち☆えいと)のブログ

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自虐史観を乗り越えて、「日本」のソ連化を阻止しよう!

(a) パリ市は,1790年都市法以来48セクションに区分され,各セクションは,選挙区および下部行政機関としての機能を果していた(44)。サン・キュロットの自律的政治活動が活発化した1792年春以降, 全市民の「人民(-peuple)主権」行使の場と考えられたのは,各セクションの第一次集会あるいはセクション総会であった。
(b) セクションでの主権行使を確保するためには,セクションの「自治(au~tonomie)」と「常設(permanerce)」が絶対的な条件であった`45)。前者は,「セクションが主権者であり,内部的な事柄はセクション総会にのみ依存する」という原則に従って,警察権・執行権・租税徴収権などをセクションに帰属させることを含んでいた。後者は,セクションが自治組織であると同時に,受託者を支配・監督する政治的な規制組織(organerdgulateur)であるが故に不可欠であった。随時集会を開いて審議することはサン・キュロットの政治活動の最低要件であったため,彼らは,17927月から17939月までの間,実際にセクション総会の常時開設を履行していた。
(c) セクションにおける徹底的な寄議を前提としたヴァルレの「命令的委任」構想は,エペシェ(旧司教館)を拠点に組織された中央委員会において179210月以降実践に移された。同委員会は48セクションの受託者計96名から成り,国民公会とコミューンに対抗する政治組織として,1793531日の蜂起などにおいて重要な歴史的機能を果した。》(「辻村みよ子『命令的委任』法理に関する覚え書き」一橋研究, 2(3), 1977)
 
 《そして,1871年のパリ・コミューンの経験を理論的に抽象して,マルクスは,共産主義社会への過渡期の国家制度の重要な環として,代表制に代替するシステムとしての派遣制を措きだす。テキストBに示されるように,人民大衆は派遣委員を選出するが,派遣委員は選挙民の「拘束的委任」の受任者として選挙民の指示に服しなければならないし,いつでも解任されうる。別語では代理人である。こうした派遣委員の集まりとして,ブルジョア国家の議会に代えて,各地方そして全国の派遣委員会議が形成される。かかる人民派遣制は,すべての公務員についての完全な選挙制と解任制などの,いわゆるコミューン国家の諸原則とあいまって,草の根民主主義の貫徹を志向するのであり,代表制民主主義を超える新しい民主主義の構築を可能にするだろう。》
 
 《実際,国民代表制は,近代における国家的支配の根幹をなすものである。近代国家では,「国民主権」を謳いながらも,「代表的委任」にもとづく国民の代表者としての国会議員が,「拘束的委任」の禁止と免責特権とにより選挙民からの独立を保障され,国民に代わって国家意思を決定しかつそれを行使するのである。「代表原理」(1-362)においては,選良が大衆に代わって意思を決定(=代意)し,かつそれを行使(=代行)するのだが,その核心は代意にある。国民代表制は,他方での政党制と不可分であり,職業政治家を中心とする政党が被支配諸階級を政治に参加させて国民として統合しつつ,しかし国家意思の決定過程からは排除するという,近代に特有の,きわめて巧妙な政治的支配のシステムである。》(『マルクス・カテゴリー辞典』大藪龍介氏執筆の項目)
 
《白紙委任というと「そうではない、選挙での公約がある」という人もいるかもしれない。確かに選出された議員(大統領・首長といえども)は建前としては、あるいは政治的・道義的には公約に制約される。しかし公約違反を理由に首長や議員を解任する法律はない。それに年間100本前後、任期の4年間で400本も成立する法律に対して、どういう投票行動を取るのかということについて、たった1回の投票で選挙民の意向が貫かれるはずもない。それ以前の問題として個々の議員が国会でどういう投票行動を取ったのかという基本的な事実でさえ大多数の有権者には知らされていない。時たま〝重要法案〟での投票行動が一部マスコミなどで報道されるぐらいだ。》(「代表民主制を考える」旧Workers―社労党からの分派)
 
《中世において多くの都市は君主との間で封建的義務と引き換えに特許状により自治と特権を与えられていた。特権は個人単位のものでなく、都市すなわち都市を代表する団体のものであった。君主が召集する身分制議会の都市代表は君主への義務をもつ都市が派遣する命令的委任の代表者であった。》(今 西 茂「集団構造における新成員構成理論と国会議員集団への適用」)
 
《真の代理人vs代議士という問題をより良く理解するためには、次のような情況を想像してみると良い。百人もしくは二百人の人が、毎日仕事で会い、共通の関心事を持っており、自分たちに関わる問題のあらゆる面を議論し、結論に到達する。そして、誰かを選び、同様の代理人と合意に達するようにその人を送り込む。この代理人が持っている権限は、自分の仲間が結論に到達するに至った考慮事項について、他の代理人に説明することだけである。代理人は、何事をも押し付けることは出来ず、理解してもらうだけであり、自分が委任された事項が受け入れられるのか、拒否されるのかの単純な提議を持って帰るだけである。真の代理委任が出現すると、これが実現するのである。》(クロポトキン『反逆者の言葉』)