住宅ローン利用者が知らない『2029年問題』の正体
「毎月の返済額が変わっていないから大丈夫」と安心していませんか?
実はその裏で、あなたの家計を蝕む『見えない利息』が膨らみ続けているかもしれません。
第2回:「利息が1,300万円増える日」はこちらからどうぞ。
第3回:「老後破綻の分岐点(デッドライン)」はこちらからどうぞ。
第4回:「なぜ銀行では将来の返済額を教えてくれないのか?」はこちらからどうぞ。
第7回 デジタルギャップの正体と「掛け算」の生存戦略(解決編)
第8回 長期金利の真実。住宅ローン金利の将来展望と「消費税はなぜ減税されないか?」
【最終回】固定への借り換えシミュレーションと、私たちの「最終回答」
前回までは、金利上昇による変動金利型ローンのシミュレーションを自作アプリ「LoanVisualizer」を使ってご紹介してきました。
最終回となる今回は、いよいよ多くの方が気になっている
「借り換えは、結局した方がいいのか?」
この問いに、具体的な数字でお答えします。
今回はいくつかのパターンで、借り換えのシミュレーションを行い、比較してみます。
■ 借り換えの基本的な考え方
変動金利から固定金利へ借り換える場合、多くの人は 借り換え後の金利の方が高くなる ことが一般的です。
つまり、
- 「今後、変動金利は上がらない」 と考える人 → 借り換え不要
- 「変動金利はこれからも上がる」 と考える人 → 借り換え検討の余地あり
という判断軸になります。
2026年1月時点でのフラット35(最頻金利)は 2.08%。
もしあなたが「変動金利はここまで上がらない」と考えるなら、借り換えは必要ありません。
しかし、政策金利はすでに 0.85%上昇 しており、今後も上昇が続く可能性は高い状況です。
そこで今回は、2028年4月に 2.35% まで上昇するケースを想定して比較します。(第1回参照)
■ 3つのケースで比較:借り換えの効果は「残期間」で大きく変わる
借り換えの効果は、残りの返済回数が多いほど大きくなる という特徴があります。
そこで、代表的な3つのケースで比較してみます。
<借り入れ事例>
借入額:4,000万円 当初借入利率:0.5% 返済期間:35年 変動金利型
ボーナス返済なし 元利均等返済
毎年4月・10月に金利見直し 5年ルール・125%ルール適用あり
現在の毎月の返済額:103,834円
※ いずれも2026年1月に全期間固定ローンに借り換えた場合で試算しています。
※ 総返済額と利息分は、2026年1月~完済までの合計額です。
※ 35年ローンの返済回数は全420回。
① 2023年4月に返済開始(残387回)
ローン残高:37,380,601円
- 変動金利のまま
総返済額:53,346,184円(うち利息 15,965,583円)
返済額の変化 103,834円⇒129,792円(2029年4月)⇒144,129円(2034年4月)
- 34回目で固定へ借り換え
総返済額:51,340,542円(うち利息 13,959,941円)
返済額:132,663円
→ 利息が約200万円減少
② 2013年4月に返済開始(残267回)
ローン残高:26,429,379円
- 変動金利のまま
総返済額:33,702,064円(うち利息 7,272,685円)
返済額の変化 103,834円⇒129,792円(2029年4月)⇒130,149円(2034年4月)- 154回目で固定へ借り換え
総返済額:33,037,686円(うち利息 6,608,307円)
返済額:123,737円
→ 利息が約66万円減少
③ 2003年4月に返済開始(残147回)
ローン残高:14,916,795円
- 変動金利のまま
総返済額:17,000,149円(うち利息 2,083,354円)
返済額の変化 103,834円⇒119,913円(2029年4月)※以降上昇なし
- 274回目で固定へ借り換え(フラット20:1.71%で計算。)
総返済額:16,544,235円(うち利息 1,627,440円)
返済額:112,546円
→ 利息が約45万円減少
なお、借り換えには数十万円の手数料がかかりますので、ご注意ください。
■ 変動→変動の借り換えはどうか?
最近は「0%台の変動金利に借り換えませんか?」と勧められるケースもあります。
ただし、
- 優遇金利がいつまで続くかの確認が必要。
- 政策金利が上がれば確実に金利は上昇する。
- 優遇期間終了後は返済額が急増するリスクがある。
という点から、将来の金利上昇リスクは残ったまま です。
■ 借り換え判断で絶対に比較すべき3つのポイント
利息の差額だけで判断すると失敗します。
必ず次の3つを比較してください。
- 定年退職時のローン残高
- 老後の毎月の返済額
- 完済までの家計の変動(教育費・物価・収入・働き方)
借り換えは「家計の未来をどう守るか」という、人生設計そのものです。
■ 金利予測は誰にもできない。だからこそ「複数パターン」で考える
どんな金融のプロでも、金利の未来を断言することはできません。
だからこそ、
複数の金利パターンでシミュレーションすることが、家計防衛の最強の武器になります。
LoanVisualizerは、まさにそのためのツールとして作りました。
■ 最後に:あなたの家計の未来を「見える化」してみませんか?
今回の連載を通してお伝えしたかったのは、
“知らないまま返済を続けることが、いちばん危険”
ということです。
もし、
- 自分のローンはどうなるのか
- 借り換えした方がいいのか
- 老後の返済は大丈夫なのか
少しでも気になる方は、ぜひ一度シミュレーションしてみてください。
あなたの家計の未来が、数字ではっきりと見えてきます。
これまで連載を読んでくださり、本当にありがとうございました。
年始にはプレゼント企画やキャンペーンも予定していますので、ぜひ続けてお読みください。
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