「2029年ショック」変動金利・不動産・国債リスクが交差する日本経済(連載:第5回)

 

2029年ショック:変動金利の“5年ルール”で静かに積み上がるローン残高の正体

 

金利上昇の影で膨らんでいる「ローン残高」

 

 マイナス金利が解除され、金利が上がり始めたのが、2024年3月。

 ですから、マイナス金利解除以前に契約した5年ルール適用の変動金利型ローンでは、返済額が再計算されるのは、2029年春以降となります。

 

 例えば、2029年4月に返済額が再計算される場合、「2029年4月時点のローン残高」が重要になりますが、このローン残高が膨らみ続けているのはご存知でしょうか?

 

 マイナス金利が解除されて以降、政策金利はこれまで5回の上昇となっています。

 

 5年ルールが適用されている期間中は、返済額は変わりませんので、特に意識していない人も多いのですが、毎月の返済額は変わらなくても、元金と利息部分の内訳は確実に変わっています。
「返済額は変わっていないのに、ローン残高が増えている」

そんな“見えない危機”が、今まさに進行しているのです。

 

 下記は、ある相談者の例ですが、マイナス金利が解除以降5回の金利上昇で、すでに2万円以上も利息部分が増えているのがわかります。

 

 

 

 利息部分が増えれば、返済額はそのままですから元金の返済部分がその分減ることになります。

 つまり、2029年に再計算される時点のローン残高は、確実に積みあがっていることになります。

 上記の例の場合、その積みあがった金額は約100万円にもなります。

 

 「ローン残高が積みあがる」ということは「返済が遅くなっている」ということですから、その分、利息も多く取られることにもなります。

まずは、直近1年の返済明細を確認し、元金と利息の割合がどう変化しているかチェックしてみてください。

 

問題は「まだ金利が上がりそうなこと。」

 

 ですが、アメリカ(FRB)との金利差などから円安は解消されないため、今後も金利は上昇しそうですよね。

 大事なのは、金利の他に「どれだけローン残高が増えるのか。」が、新しい返済額に影響を与えてしまうことです。

 さらにあと3回(2026年の後半と2027年に2度)、金利が上昇するとなると、下記のように内訳が変わってきます。

 

 

 この例だと8回の利上げで、利息部分は元金部分を超えてしまうほど増えています。

そして、2029年4月までに積みあがるローン残高は、合計で約134万円となります。

 

 以上のように5年ルールは、ローンの返済を遅らせ、2029年の再計算時に積みあがったローン残高は、返済額の再計算に影響されます。

 どのくらいローン残高が増えているのか、チェックしておきましょう。

 

なお、変動金利型ローンの金利上昇の影響や50年ローンは、拙著でも詳しく解説しています。

 ↓

こちらからどうぞ。

 

ファイナンシャルプランナー・IT講師

川淵ゆかり

厚生労働省 1級FP技能士

経済産業省 高度情報処理技術者

https://yukarik-fp.jimdofree.com/

 

#住宅ローン #金利上昇 #変動金利 #2029年問題 #50代

「2029年ショック」変動金利・不動産・国債リスクが交差する日本経済(連載:第4回)

 

2029年に生き残る中堅社員の条件

 

 これまで述べてきたように、2029年は家計経済にとって大きな変化が出始める年になります。

 それは、厳しい時代の始まりとなりそうですから、2029年までには、国や会社に頼らない“強い自分作り”が必要になってきます。

 その一つが、企業が求めるITやAIのスキルになります。

 サイバー攻撃は大きな社会問題になっており、AIが発達し、情報Ⅰ世代が世に出てくる2029年までに“ホワイトカラー”として生き残るために、自分のITスキルを上げておきましょう。

 

 今の高校生は、プログラミング・データ分析・セキュリティ等の基礎を必修科目(情報Ⅰ)として学習しており、企業はITスキルのあるこういった情報Ⅰ世代に期待をしています。

 情報Ⅰ世代は大学を卒業する2029年度から社会人になりますので、こういった情報Ⅰ世代を使える中堅社員を企業は求めています。

つまり、中堅社員自身のITスキルの有無が収入の格差に繋がってくるのも2029年頃になります。

企業は「情報Ⅰ世代を育てられる中堅社員」を求めており、ここに大きな評価差が生まれます。

 

 

1. 自分のITスキルレベルをアピールする

 

 自分のITスキルを、今いる会社や転職・再就職するときにアピールする場合、試験に合格しておくと理解してもらいやすくなります。

 ITスキルレベルは、IPAによる国家試験レベルとITSS(ITスキル標準)レベルがあり、企業はこういったレベルでスキルを判断することもあります。

 

ですが、IT資格は国家資格・民間資格・ITSSが混在しており、企業側も学習者も“レベル感の違い”で混乱しがちです。そこで今回は、この3つを1枚にまとめた統合マップを下記のように作りました。

 

 

ITスキルは、高校で必修科目となったこともあり“持っていて当然”のスキルになりつつあります。

逆に言えば、ITスキルがないことが“マイナス評価”になる時代です。

年代を問わず、2029年までに上記試験にチャレンジしておくことが収入を安定させる一歩となります。

 

 企業側も資格を持っている社員が多くいると、“ITに強い企業”、“セキュリティに強い企業”を取引先やメインバンクなどにアピールすることができます。

・自社の研修レベルを見直す

・社員のスキルマップに活用する

・採用基準の整理に使う

といったことに役立てることができます。

 

 

2. 企業が欲しがるAIスキルとは何か

 

 AIを日常的に使う人が増えてきましたが、単にAIを使えるだけではホワイトカラーとして生き残れません。

 企業が欲しがるAIスキルとは、AIが出した答えを「正しいかどうか」判断できる能力です。

 例えば、住宅ローンの金利が上昇していますので、変動金利型ローンの利用者であれば、5年ルールの猶予期間が終了した後の返済額が気になる人は、AIに返済額を尋ねるわけですが、AIはスクリプト(命令)の入力によって、まったく違う答えが返ってくることがあります。

 それをそのまま信じてしまうと、実際に返済額が上がった時に「こんな筈じゃなかった!」となりますし、仕事上でこのようなことが起きると大問題になります。

 私の場合はローンの計算式を知っていますから、自分で計算式を設定したプログラムを作成して使った方がAIに頼るよりも早くて正確なわけです。

 もちろん、事前にテストも何度も重ねたプログラムですから1度実行しただけで色々な角度から分析もできます。

 企業は、AIに頼る人間ではなく、AIが出した答えを疑い、検証できる人間が欲しいのです。

 それには、業務知識や経験も重要になってきます。

 

 もう一つ、今のところ人間がAIに勝っている能力に創造性(アイデア)があります。

AIは過去のデータから最適解を導くことは得意ですが、「まだ誰も考えていない視点」や「ゼロから価値を生み出す発想」は苦手です。

 

企業が求めるのは、AIが出した答えをそのまま受け取る人ではなく、AIを使って“より良い答え”を生み出せる人材 です。

つまり、

・業務知識

・経験

・現場の感覚

・顧客の気持ちを理解する力

・新しい価値を生み出す発想力

これらを掛け合わせて、AIを“道具”として使いこなせる人が、2029年以降のホワイトカラーとして生き残っていけます。

 

2029年は、ITスキルとAIリテラシーの差が、そのまま収入とキャリアの差になります。

今から準備しておくことで、厳しい時代を乗り越える“強い自分”を作ることができます。

 

***

2029年は住宅ローンの返済額アップを迎えるご家庭も多い年です。

住宅ローンについては、拙著でも詳しく解説しています。

「50代の家計が危ない!住宅ローンの教科書2026-2027年版」は、

50代はもちろん、30代・40代の方も将来に備えられる1冊です。

2029年の家計リスクについても詳しく説明しています。

 ↓

こちらからどうぞ。

 

ファイナンシャルプランナー・IT講師

川淵ゆかり

厚生労働省 1級FP技能士

経済産業省 高度情報処理技術者

https://yukarik-fp.jimdofree.com/

 

#ITスキル #学び直し #サイバー攻撃 #転職 #収入アップ

「2029年ショック」変動金利・不動産・国債リスクが交差する日本経済(連載:第3回)

 

消費税減税のウソ

 

 

「食料品の消費税を2年間だけ1%に下げます」。

そんなニュースを聞くと、家計の立場からは「少しでも安くなるなら助かる」と感じますよね。

ですが、減税はわずか2年。

2027年4月~2029年3月までの2年間の予定ですから、2029年の春からは私たちの家計に“食料品の消費税アップ”という負担が待ち構えることになります。

 

そして、レジのシステム改修については、税率「1%」への引き下げなら半年程度、「ゼロ」だと1年程度かかるという発表でした。

 

私は元SEですが、こういった改修期間を聞くと、頭の中で工数計算しちゃうんですよね。

半年だとどんなに低くても数百万円かかることになります。

しかも使用する期間はわずか2年・・・。

全国のシステム改修だといくらかかるのか、調べてみました。

 

 

システム改修にいくらかかるのか?

 

▼ 2019年の「軽減税率+ポイント還元」のとき

・レジ改修費:3,000億円以上

・中小企業向け補助金:1,000億円以上

・自治体システム改修:数百億円規模

※    2019年の軽減税率導入時の公費は、政府資料・報道ベースで4,000〜5,000億円規模公費が使われました。

 

今回もし「消費税を2年間だけ下げる」なら、

・税率変更

・軽減税率との組み合わせ

・インボイスの再調整

・会計・給与・請求書システムへの波及調査と改修

が必要になるため、同等かそれ以上のコストがかかると見られています。

 

つまり、「税率を変えれば終わり」ではなく、税率が絡む全処理を洗い出してテストし直す必要があるため、改修よりも“検証”に時間と費用がかかります。

 

しかも日本は“失われた30年”で、レガシー(古い)システムを使い続けているところもまだまだ多いのが実情で、

・COBOLでの構築

・20年以上前の独自フレームワーク

・仕様書などのドキュメントなし

・担当者不在

が、改修工数を引き上げます。

こういったレガシーシステムの改修はAIでは対応できず、これも日本の大きな課題となっています。

 

 

誰が払うのか?

 

以上のように、消費税率をいじるたびに、レジや会計ソフト、受発注システムなどの改修が全国で必要になります。

今回も、現時点での報道ベースでは 1,000 億円以上の補助金が使われると言われていますが、原資は当然、税金と国債です。

自治体のシステム改修も税金が使われます。

企業側の改修は、補助金で足りない分は企業が負担するのでしょうが、企業側も負担した分は、やがては“価格アップ”という形で回収してきます。

 

たった2年の減税のために税金や国債を使い、システム改修に補助金をばらまき、あげくの果ては、“消費者に負担がブーメラン”で帰ってくる仕組みです。

 

 

あなたは、これでも消費税減税に期待しますか?

 

 

なぜ、誰も批判しないのか?

 

 数千億円のコストがかかり、2年間の減税により数千億〜1兆円規模の税収を減らし、やがてはこれらの負担が国民にのしかかる・・・。

 本当に国民のためになるのか?と考えますが、なぜ誰も批判しないのでしょうか。

2026年1月の衆院選の選挙では、多くの野党も消費税減税について公約を掲げていましたから、反対もできないのでしょう。

 

 たしかに今は物価も高く、賃金も上がらず、生活に苦しさを感じている人も多いでしょうが、2年間の消費税減税でこれからの暮らしは豊かになるといえるでしょうか?

 3年後以降の生活に、より苦しさしか見えない政策は考え直していただきたい、と思っています。

 

そしてこの“減税ブーメラン”が返ってきたタイミングで、2029年には住宅ローンの返済額アップを迎えるご家庭も多いのです。

住宅ローンについては、拙著でも詳しく解説しています。

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ファイナンシャルプランナー・IT講師

川淵ゆかり

厚生労働省 1級FP技能士

経済産業省 高度情報処理技術者

https://yukarik-fp.jimdofree.com/

 

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