投資について人に教えることがあるのですが、よく耳にするのが「なんでこんな株を買ってしまったのか」「あの時に売っておけばよかったのに」といった後悔や、自分を責める言葉です。

確かに、投資は上がることもあれば下がることもあります。

そして、誰しも利益を出したいという思いから、損をしたときに強い喪失感を抱くのは自然なことです。

しかし、そのときに本当に大切なのは、過去を悔やむことではなく、今この瞬間に立ち返って「これからどうするか」を考えることです。

 

 

過去の出来事はどれだけ考えても、どれだけ悔やんでも、変えることはできません。

損をしたという事実や、間違った判断をしたという結果は受け入れるしかありません。

その上で、必要な反省をし、次に同じ間違いを繰り返さないようにすることこそが、経験を意味あるものに変える鍵となります。

 

後悔にとらわれて思考や感情を消耗させても、状況が好転するわけではありませんから。

むしろ、冷静さを失い、次の判断まで曇らせてしまう危険が高まります。

 

この考え方は、投資に限った話ではありません。

例えば、起業の世界でも同じことが言えます。

ビジネスをしていれば、思い通りにいかないことや、他者の影響を受けて不利益を被ることもあるでしょう。

取引先が突然倒産して、売掛金が回収できなくなるといった事態も現実に起こったりします。

そのとき、「なぜあの会社が倒産したのか」「なぜこんな相手と取引してしまったのか」と悔やんでも、失ったお金は戻りません。

たとえ債権が残っていたとしても、回収できる金額はほんのわずかであることがほとんどです。

それならば、さっさと気持ちを切り替えて、今ある状況でどうやって資金を回すか、どうやって次の道を切り拓くかを考える方がはるかに意味があります。

 

このように、「常に今を起点に考える」という姿勢は、投資でも起業でも同じく重要なものです。

そして、もっと広く言えば、私たちが日々を生きていくうえで、非常に現実的で、本質的な思考であるとも言えます。

過去の出来事に縛られても、未来に対して正しい一歩は踏み出せませんから。

それこそ時間の無駄です。

 

未来を変えるためには、今この瞬間から何をするかに集中するしかありません。

 

そして、やってしまった失敗は、それを糧として次に活かすことで、その失敗は価値ある経験に変わります。

だからこそ、自分の判断を振り返り、必要があれば修正し、そして次の判断に活かすという循環を作ることです。

大切なのことは、同じ轍を踏まないこと。

その繰り返しが、自分自身の思考力を鍛え、結果としてよりよい判断につながっていきます。

 

この考え方は、年齢や立場にかかわらず、すべての人にとって大切な考え方だと思います。

たとえそれが小さな一歩であったとしても、「今」に意識を向けて進むことで、やがて大きな成果や変化を生むことができるでしょう。