何にでも言えることですが、何かを始めるとき、最初に考えるべきなのは「何のためにそれをやるのか」という目的です。

目的が明確であるかどうかによって、その後にとる行動や選ぶ手段が大きく変わってきます。

 

 

実際に、私が運営している起業塾の生徒の中にも、この「目的のズレ」によって成果に差が出た事例がいくつかあります。

 

一つ目の事例は、ブログを使って集客をしたいという相談です。

ある生徒は、集客のためにブログを始めました。

しかし、そのブログの記事内容を確認すると、特定のテーマに絞られておらず、誰に向けて書かれているのか、そして読んだ人にどんな行動をとってほしいのかが曖昧でした。

アクセスをどこから得たいのかも考えられておらず、SEO対策もSNS連携も中途半端な状態だったのです。

このようなブログでは、当たり前ですが、集客にはつながりません。

集客を目的にするのであれば、「その場で商品を購入してもらうのか」「まずはメルマガ登録をしてもらい、後から商品を案内するのか」など、明確なゴール設定が必要です。

そして、その目的に合わせて記事の構成やタイトル、導線設計を行うべきなのです。

目的が不明確なままいくら記事を書いても、読者はブログの価値を感じづらく、結果として誰にも届かないものになってしまいます。

 

二つ目の事例は、ファンを増やしたいという目的でセミナーを開催した生徒の話です。

この生徒は有料のセミナーだったのにもかかわらず、多くの申込みがありました。

しかし、集まった人数を見て欲が出てしまい、バックエンド商品のセールスを行ったところ、申込みはゼロという結果になってしまいました。

結果、お金を払ったのにセールスをされたという感情を持ちますので、その参加者さんたちがファンになることもなかったでしょう。

本来の目的は「ファンを増やすこと」だったはずです。

であれば、セミナーでは徹底的に価値提供をし、信頼を築くことに集中するべきでした。

途中で目的を変更し、商品販売に切り替えてしまったことで、参加者との信頼関係にズレが生じ、売上につながらなかったのです。

もし最初から商品販売を目的としたセミナーにするのであれば、そもそも少人数で回数を分けて開催する方が、成約率も高く、次回に向けた改善もしやすい構成にできます。

この事例からも、最初に掲げた目的をブレずに持ち続けることがいかに大切かが分かります。

 

三つ目の事例は、生成AIの活用に関するものです。

最近ではAIの精度が高まり、ランディングページ(LP)を簡単に作れるように感じる人も増えています。

実際に、ある生徒は生成AIを使ってLPの原稿を作り、その出来に感動して、どんどんのめり込んでいきました。

しかし、そのLPはそこそこ整っていたものの、内容は顧客心理に十分に寄り添えておらず、商品の強みも弱く伝わっていました。

それっぽいLPの原稿を簡単にだしてくれるし、「売れるLPを書いて」と指示して書いてもらっているので、そのLPで売れると思いこんでしまうのでしょうね。

これ、SEOに強いブログ記事とか、フォロワーが増えるSNS投稿も同じですよ。

それっぽいことは書いてくれますが、それを投稿しても、ほぼ成果は出ません。

生成AIは、たしかに作業を効率化する強力なツールですが、「売れるLPを作る」という目的があるのであれば、AIが出した原稿がちゃんと売れる原稿なのかをチェックし、必要に応じて手をいれる必要があります。

この例でいえば、いつの間にか「売れるLPを書く」という目的から、「簡単にLPを書く」という風に変わってしまったのではないでしょうか。

 

これらの三つの事例に共通しているのは、「最初に立てた目的をどこまで意識できていたか」によって、その後の行動や成果が大きく変わってしまったということです。

目的を明確にすることは、ただのスタート地点ではなく、その後の選択や判断のすべての基準になる重要な軸です。

どんなに優れた手段やツールがあっても、それが目的に合っていなければ期待した成果にはつながりません。

 

なので、何かを始めるときには「そもそも何のためにやるのか」を自分に問い直し、その目的から逆算してやるべきことを選び取るようにしてください。

目的が明確になれば、行動の優先順位も、使う言葉も、選ぶ手段も自然と定まってきます。

そして、その積み重ねが、しっかりと成果につながっていくのです。