世の中には、魅力的に見える投資話が数多くあります。
「簡単に利益が出る」「今がチャンス」「リスクはほとんどない」といった言葉が並び、聞いていると非常に魅力的に思えてしまうこともあるでしょう。
しかし、こうした投資話を安易に信じることはとても危険です。
なぜなら、勧める側は利益を得る立場にあるため、意図的に都合の良い話だけを強調し、リスクについては触れないことが多いからです。
例えば、再生可能エネルギーの一つとして注目されている太陽光発電への投資を考えてみましょう。
多くの業者は、「太陽は毎日昇るため、発電は安定している」「売電すれば長期間にわたって収益が得られる」「環境に優しく、将来性のある分野である」といった点を強調します。
特に固定価格買取制度(FIT)が適用される案件では、一定期間、国が決めた価格で電気を買い取るため、「安定した収益が保証される」と説明することが多いです。
しかし、こうした説明の裏には、実際に次のようなリスクが隠されています。
ひとつ目は、近年の気候変動による影響です。
台風や豪雨、吹雪などの異常気象が増加しており、それに伴い太陽光パネルの損傷や架台の崩壊といった被害が発生しています。
設置当初は問題なくても、こうした自然災害により修理費用がかさむこともあり、結果として収益を圧迫する要因になり得ます。
二つ目は、設備の盗難も深刻な問題です。
太陽光パネルや電気を送るための銅線は高額で取引されるため、特に無人の発電所では盗難が相次いでいます。
このため、防犯カメラやフェンスの設置、警備費用などの追加コストが発生し、投資当初の計算よりも出費が増える可能性が高いのです。
三つ目は、太陽光パネルの寿命と最終的な処分費用も考慮しなければなりません。
パネルの寿命は一般的に20年から30年とされていますが、実際には経年劣化により発電効率が低下し、期待していた収益を維持できなくなることもあります。
そして、パネルを廃棄する際には産業廃棄物として処分しなければならず、その費用はそれなりの金額になります。
こうしたリスクは、多くの業者が積極的には話さない部分です。
投資を検討する際には、業者の説明を鵜呑みにせず、「何か他にリスクはないか」「数年後、十数年後にも利益が出るのか」「市場の変化や政策の変更に影響されないか」といった視点を持つことが重要です。
多くの人が「今の利回りが良い」と思い、短期的な利益に目を向けがちですが、実際には維持管理や最終処分まで含めて計算しなければ、本当に利益が出るかどうかは分かりません。
このように、投資をする際には長期的な視野を持ち、目の前の利益だけでなく、その裏に潜むリスクまで考慮することが重要です。
世の中には「美味しい話」に聞こえる投資案件が多く存在しますが、そのほとんどは何らかのリスクを伴っています。
将来を見通し、慎重に判断することこそ、賢い投資家になるための第一歩と言えるでしょう。
