住宅ローンの繰り上げ返済は「安心」か「錯覚」か|資産形成のプロが語る“やってはいけない理由”



住宅ローンを早く返したい。

借金がある状態が不安だ。

そう感じる方は多いのではないでしょうか。



でも実は、住宅ローンの繰り上げ返済は資産形成の観点から見ると、やってはいけない行動です。

これは多くの家計サイトやFPの一般論とはまったく逆の考え方ですが、

「お金を増やす人」「守る人」ほど、ローンを上手に“利用”しています。



今回はその理由を、実際の数字とともにわかりやすく解説します。



1. 「借金ゼロ」は安心ではなく“停滞”



繰り上げ返済をすると、確かに心理的には安心します。

しかし、手元の現金は減り、「自由に使えるお金」=流動性を失います。



キャッシュが減れば、投資・教育・転職・独立など、

人生の選択肢がどんどん狭まります。

つまり繰り上げ返済は「安心を得る代わりに自由を失う」行動なのです。



2. インフレの時代に「借金」は味方になる



インフレとは、お金の価値が下がること。

同じ3,000万円の借金でも、物価が上がれば“実質的な負担”は軽くなります。



10年前に3,000万円借りた人が、今も同じ金額を返している。

でも、10年で物価が1.5倍になっていれば、

実質的には「2,000万円程度の価値」しか返していないのです。



つまり、インフレが進むほど、住宅ローンは“軽くなる負債”。

焦って返すほど損をします。



3. 500万円の繰り上げ返済で得られる利息軽減はわずか



例えば金利1%の住宅ローンで500万円を繰り上げ返済した場合、

軽減できる利息はおよそ81万円ほど。



一方で、その500万円を年5%で30年間運用すれば、

資産は約2,160万円になります。



つまり「81万円の節約」と「2,160万円の資産」。

どちらを選ぶかで、将来の結果はまったく違ってきます。



4. 資産家が借金をするのは“インフレ対策”ではない



私自身、最初はこう思っていました。

「お金持ちはインフレを味方につけるために借金をする」と。

でも実際に資産家の仕組みを学んで分かったのは、

借金の本当の目的は“資産を守るため”だったのです。



相続税対策としての借入



現金や株式は相続時に“額面そのまま”で評価されます。

しかし不動産は、「路線価」「固定資産税評価額」で評価され、

実勢価格の70〜80%まで下がります。



さらに、借入金は「負債」として差し引けます。

たとえば資産10億円の人が10億円を借入して賃貸不動産を購入すると、

相続評価は「不動産7億円−借入10億円=−3億円」。

課税対象が大幅に下がり、相続税は数億円単位で減ります。



つまり、資産家にとって借金は“節税と防衛のツール”なのです。



貸家建付地・借家権割合の仕組み



不動産を賃貸すると、土地は「貸家建付地」として評価され、

さらに建物には「借家権割合(30%程度)」が適用されます。

この結果、相続時の評価額は実勢価格の半分ほどに圧縮されることもあります。



だからこそ、資産家は積極的に借金をし、

「守るための借入」を戦略的に行うのです。



5. 借金は“悪”ではなく“仕組み”



お金を増やす人は、借金を「活かす」視点で見ています。

借金をすることで流動性を保ち、資産を増やし、

税金を抑える。それが、真のファイナンス戦略です。



金利1%の住宅ローンは、ほぼ無利子でお金を借りているのと同じ。

この“レバレッジ”を使える人だけが、資産を増やしていきます。



6. 返済よりも「理解」



お金の不安を消すために必要なのは、「返済」ではなく「理解」です。

仕組みを知れば、住宅ローンは怖くなくなります。

借金を「負債」ではなく「資産を守る仕組み」として扱う。

それが、お金を増やす人の思考です。



まとめ:返済で安心を買うより、知識で自由を買う



・住宅ローンはインフレに強い

・手元の現金こそ自由の源泉

・資産家は借金を防衛と節税に使う

・借金は返すよりも活かすもの



「借金ゼロ」がゴールではありません。

お金を増やす人は、借金すら味方にして、資産を守ります。



返済で安心を買うより、知識で自由を買う。

これが、豊かさへの最短ルートです。



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