来週(5~9日)は中央銀行による金融政策の発表が相次ぐ。
6日はオーストラリア準備銀行が政策の現状維持を決める見通し。7日はカナダとトルコの中銀が政策金利を発表し、8日はユーロ圏の金融政策を司る欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。
日銀の会合は8~9日だ。米連邦準備理事会(FRB)が金融正常化の流れを先導するなか、主要中銀がどのような姿勢を示すのか注目だ。
米金融政策に対する市場の観測を左右する2月の米雇用統計が9日に発表される。FRBが7日(日本時間8日)にまとめる米地区連銀経済報告(ベージュブック)は20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の討議資料となる。政策の先行きを読むためのヒントが示されるかもしれない。
経済統計は、5日に2月の米ISM非製造業指数が発表される。6日に南アフリカの2017年201710~12月期国内総生産(GDP)、7日にオーストラリアの10~12月期GDPの発表がある。
中国では5日に全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する。中国政府は2018年の経済成長率の目標値を公表する見通し。17年の成長率は目標値(6.5%前後)に対し、6.9%だった。体制を固めた習近平(シー・ジンピン)政権は今年、デレバレッジ(債務圧縮)や金融規制を一段と強める方向で、景気に下押し圧力がかかりやすい。
【注目ポイント】
▽日本
日銀の金融政策決定会合(8~9日)
現行の正副総裁体制では最後の会合となる。政策に変更を加えず、金融緩和の継続を決めると市場ではみられている。黒田東彦総裁は続投する方向だが、会合後の記者会見では2%の物価目標を掲げ、異次元緩和を続けてきたこれまでの5年間を振り返る場面がありそうだ。国会の所信聴取に続き、新たな任期の5年間に向けてどのような考えを語るのか注目が集まるだろう。
▽米国
2月の雇用統計(9日)
賃金の上昇率が引き続き焦点だ。2月2日発表の1月の雇用統計では平均時給の前年同月比の伸び率が2.9%と約8年半ぶりの高水準となり、米長期金利の上昇と株価の大幅下落を誘った。このまま賃金の上昇が続けば、インフレ率を押し上げ、「適温相場」の前提である低金利の環境が成り立たなくなる。パウエル新FRB議長の議会証言も手伝って米利上げペースの加速に警戒感を募らせる株式市場に、2月の統計は明確なサインを与える可能性がある。
↑クリック