11月12日(土)
金買い維持。以上。
さて本日は日本にとって致命的となるTPPについて書きたいと思います。
TPPとは・・・。
トランス・パシフィック・パートナーズシップの略。
経済連携協定の一つです。
加盟国間で工業品・農産物などの全商品の関税の撤廃
労働規制・金融・医療などにおける非関税障壁を完全撤廃し自由化する協定。
現在の加盟国はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド
参加表明国はアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー。
マレーシア、コロンビア、カナダも参加意向ですが、カナダは酪農市場の開放に問題があって、2010年に参加を断られています。
で、野田さんはついに日本の交渉参加を表明しました。
これは大事件です。
なぜか?
詳しくは後で説明しますが、TPPの前に韓国の米韓FTAの話しをしなければなりません。
韓国はもともとTPP参加に前向きでしたが、自国に不利になるとの事で、アメリカとだけの協定交渉に切り替えたんですが、結局、FTAという米国との2国間だけの協定を結ばされました。
ご存じの方も多いと思いますので、協定内容の一部だけ書くことにします。
韓国は去年の12月に米韓FTAを結びました。
たとえば、自動車市場ですが、これがとんでもない特例付きで、アメリカの本心が見えます。
アメリカが韓国の自動車市場に参入しやすいように排ガス規制や安全基準はアメ車に関しては除外という、アメリカに有利な特例付き。
更に韓国の車がアメリカに大量に輸入されて、アメリカの自動車業界が困るような事があれば、関税を復活するという、なんとも傲慢なジャイアンみたいな規定も加えられちゃったんです。
他商品についてもアメリカに有利な特約が盛りだくさんです。
例えば狂牛病の牛肉を輸入制限する事ができないとか・・・
怖くてこれ以上書けません。
まだ協定を結んで1年足らずですが、一部の産業では倒産が相次いでいます。
韓国国民もこの異常事態に気付き始めてデモを起こしていますが、後の祭り状態で、アメリカ側にしか有利に働いていません。
TPPとは、まさにアメリカが傍若無人に貿易ができるという協定というのが、理解できたと思います。
さて、関税が撤廃といいましても、実際、日本の関税率が高いのか安いのかわからないと思いますので、G20参加国の関税率ランキングを発表したいと思います。
単純平均
1位ブラジル 13.6%
2位インド 12.9%
3位アルゼンチン 12.6%
4位韓国 12.1%
5位メキシコ 11.5%
・・・・・・
11位 EU 5.3%
12位 日本 4.9%
・・・・・・
15位アメリカ 3.5%
おや?意外と日本の関税って低いじゃないですか・・
と思いませんか?
でも農産物に限定すると・・・・。
農産物
1位 韓国 48.6%
2位 トルコ 42.9%
3位 インド 31.8%
4位メキシコ 22.1%
5位 日本 21%(一部関税のない農産物もアリ)
6位 中国 15.6%
・・・・・・・・
15位 アメリカ 4.7%
んーさすがに、農産物に関しては日本の関税は決して安いというものではありません。
では、輸出産業の、機械、自動車などの業界だけが恩恵を受けて、一次産品の方に不利なんでようか?
TVなんかでは、農家にとっては不利だとか、自動車にとっては有利だとか言っていますが、本当の問題点はそんな単純なものではありません。
一番の問題はズバリ、「ISDS条項」です。
これは投資家保護目的の条項です。
簡単に言いますと、例えばアメリカのある企業が日本市場に参入したものの、国策によって被害を受けたとします。
とうぜん日本国内ですから、今まででしたら「いやなら日本から出て行ってちょうだい」で済みますが、これからはそうはいきません。
そうなった場合、これからはICSID(国際投資紛争解決センター)というところが、仲裁に入ります。
日本の裁判所での紛争解決はできません。
もし日本に不利な判決が出た場合、日本政府は控訴できない事になっています。
ようするに、強引な言い方ですけど、これって治外法権?って言いたくなりますよね?
審査の基準は、日本国が日本人の「安全・健康・環境」の為にした政策でも無視されます。
つまり日本の財産や日本人の健康、日本の環境は、完全に破壊されます。
更に問題なのは、このISDS条項の事を野田首相が最近まで知らなかったという事です。アホか?
知らないですまされるか!と怒りたくなりますが、参加するかしないかということに迫られて、ISDS条項について理解しないまま、アメリカに脅された官僚にそそのかされて、TPP交渉参加を表明してしまいました。
で交渉に参加する、という事ですから、あくまで交渉なので、参加まではいってませんが、事実上の参加表明です。
私が一番気になるのは、金融業界と保険・医療・福祉に関してです。
例えば、共済制度の廃止が見込まれて、米国保険業界が日本に押し寄せてきます。
更に、郵貯・かんぽのお金が、根こそぎ米保険会社に取られるというのは、目に見えています。
当然ですが、郵政民営化は今回のTPPの序曲に過ぎなかったという事で、郵政民営化で外堀を埋めて今回のTPPで郵貯という本丸を攻め落とすという、何ともにくい戦術で、日本人は丸裸となります。
さらに、農薬使用制限や排ガス規制など、健康面での規制も大幅に緩和される予定ですから、ただでさえ、放射能で苦しめられているのに二重苦三重苦となるわけです。
農薬まみれの農産物が輸入されても、「これはTPPの基準に基づいています」といわれば、「安全」な農産物として市場に出回ります。
有毒な排気ガスをまき散らす車が走っていても「TPPの基準内です」といわれれば、規制されません。
さらにさらに、高齢化社会が深刻なのにもかかわらず、混合医療の強制というとんでもない制度を導入しようとしている訳ですから、まともな医療は受けられません。
ちょっと強引な発想ですが、わかりやすく言うと、風邪ひいて医者に行ったのに、歯科医の診断を受けるとか、骨が折れたのに産婦人科の先生が包帯を巻くとか、とにかくそーゆー事もなきにしも、あらずなんです。
専門のお医者さんに診てもらいたければ、高額な医療費となります。
で、無いとは思いますが、今回の交渉に参加して、後からTPP不参加という事になれば、日本は更に孤立します。
不参加するくらいなら、最初から交渉に参加してはいけません。
まーそーゆー度胸は「どじょうさん」には無いと思いますが・・。
実際TPP参加により恩恵を受ける製造業は約17%、83%の産業には不利といわれています。
現在、世界中でメイドインジャパンがほしいという国はほとんどありません。
日本製が売れると思っているのは日本人だけです。
現在世界でまともに対抗できる日本の技術は水関連です。
例えば浄水技術は断トツです。
しかし少しずつ、この数少ない日本の技術も他国に漏えいしています。
昔は電化製品や自動車の技術は世界一でしたが、知らないうちに技術を盗まれて、他国に追いこされてしまいました。
危機管理能力は後進国です。
TPP参加により、国産の農産物が売れないとか、自動車が売れやすくなるとか、目先の議論ばかりが目立ちますが、一番の問題は国民の健康や財産、日本の技術が根こそぎ破壊されるという事です。
よくわかっていない野田さんに日本の将来を預けていいものでしょうか?
長くなりましたが、TPPについて、ほんの少しだけ書きました。
全部書いていたら、この10倍位になりますので、後は皆さんご自身で調べていただき、参加に賛成か否かご自身で判断してください。
ちなみに月曜の更新は今のところ、ない予定です。