初めて見たアメリカの景色は衝撃的だった・・・
初めて、外国、アメリカに行ったのは、もう27年前の、ちょうど、今頃。就職してから、40日の内航を2航海、外航前のテスト航海を3日間こなし、4航海目にして、初の外航。しかも、いきなり、最初の入港先はロサンゼルス郊外のロングビーチ。当時、21歳の私にしたら、初めての外航がいきなり、アメリカ合衆国で、しかも、西海岸のロサンゼルスに近い、ロングビーチ。この商売をしていても、そうそう、メジャーな街というのは行けるものではないらしく、年上の司厨員の人から、「サードオペレーターは外航でいきなり、ロスか・・・。」と羨むような感じで、言葉をかけられた。本来なら、航海予定としては、ベーリング海で、入港先はコディアク、セワードといったアラスカの港になるはずだったのだが、それが、業界団体とか、その他、諸々の事情で立ち消えとなり、それと入れ替わりで組まれたのが、カリフォルニア沖の航海だった。テスト航海をしたとは言え、前回の航海から、航海と航海の間が、かなり、開いた事もあり、身体が船に慣れるか、どうか、気にはなっていたが・・・ 東京・晴海の岸壁を離れ、東京湾を南下している間は、まだ、良かったが、夜、東京湾を出る頃になり、千葉県の野島崎をかわしたあたりで、ものすごいローリング(横揺れ)。 自分の当直時間で、なんとか、こらえようとはしたものの、やはり、1年目の新米には耐えられず、敢え無く、無線室のソファーに船酔いでダウン。 この船酔いは、恐らく、普通に生活している人には分かりづらいと思う。 これは本当に体験してみないと、なんとも、伝えるのが難しい。 客船とか、大型のフェリーとか、あるけれども、お客さんが乗るような船とは、また、これが違うんだな・・・。 当直交代の時間になり、(マズイ!)と思い、なんとか、力を振り絞って、起き上がろうとしたものの、その姿は上役のセコンドオペレーターにしっかりと、見られてしまった。 私が起き上がろうとしていると、セカンドオペレーターは「もう、いいぞ。野島を交わして、いきなり、これだもんなあ。まあ、しょうがねえなあ・・・。」と、セカンド自身も船酔いで、結構、しんどそうな感じだった。 南よりのコースをとっているとはいえ、ベタ凪という事はなく。 その代わり、風が追い手になっていたので、その点は有難かった。 コースを南に取り、小笠原近海で、東にコースを取りながら、徐々に北上し、ハワイ近海を横切って、ようやく、アメリカ大陸。 東京を出てから、22日目にして、ようやく、アメリカ大陸へ到達。 前日の夜は港外にて、漂泊。 が、その漂泊した時に見た、外の景色には度肝を抜かれた。 就職して、晴海から東京の夜の景色を見たときに、(ああ・・・やっぱり、東京って、スゴイなあ・・・・。)と思い、外を眺めていると、私の前任の先輩通信士から、「外地へ行くと、夜景はもっと、スゴイよ。こんなもんじゃないから。」と言われた。 その先輩はニュージーランド航海を経験していたのだが、恐らく、私が、この時、目にしていた夜景というのは、その先輩が話していたスケールよりも、更に、スケールの大きな夜景だったに違いないと思う。 何と表現すれば良いのか。 金粉を万遍なく散りばめたというのか・・・。 東京の夜景なって、まったく、足元にも及ばない、東京と比べたら、10倍、100倍?のきらびやかな夜景。そんな光景が、自分の目の前に広がっていた。 これがアメリカなんだ・・・・。 学生時代、アメリカという国がどれだけ、すごいかという事は、担任から聞かされてはいたが、しかし、いざ、その姿を目にしたとき、その担任の話から想像したものを遥かに凌ぐ光景が眼前に広がり、21歳の自分は衝撃を覚えずにはいられなかった。 こんなスゴイ国と、戦争をして・・・・やっぱり、勝てる訳ないわ。 そんな風に思わずはいられないくらい、あのロサンゼルスの夜景は衝撃的だった。