1・女というもの/女というもの(1)
女というものは、そばに男がいていっしょに見物してやらないと気のすまない動物だ。
――残りの雪――
上記引用。
立原正秋という名を聞いて、あの小説家の、と思いつく方は多くない。そして、韓国で生まれた人間であることを知る人となると更に「多くなくなる」だろう。いま、web界隈で関心の高い韓国、それに関わる話題は豊富ではあるが、何故か立原正秋については驚くほど語られていない。
と、いうのはさておき、立原語録もとい作品集からの名言を抜き出したものが「愛と人生の風景」(新潮社)である。作者論をうりゃーーーっと語るのも悪くはないけれど、こういう風な遊び方も悪くはないだろうと。
現代でこんな話をしたら頭の悪いクレームがきそうな一文である。動物だ、なんていわれて心中おだやかではない方々はこういうとき話にならない。話にならない相手を一言で斬る場面は立原小説では珍しくないが、これは趣が異なる。「残りの雪」を読んでいただければ分かるであろうが、女という存在の本質を捉えつつ寛容している。醜さに対して容赦のない立原であるから、これはむしろ好意的ともいえる一文なのである。
男と女、さりとて珍しくない光景であるが、男が女を伴うのと女が男を伴うのでは場面にはよるが本質的に違うものである。もちろん共通するところはあれど、何に喜びを感じるか、何を求めるか、というような点において性別によって凹凸があるのだ。それは善悪で判断するものではなく、認めたうえでどう感じるかという問題に過ぎない。


