私は小学生の頃からお菓子作りが好きだった。

中学生の時、プリンのカラメルソースを作っていて左手の人差し指を火傷した。

次の日、薬を塗ったところにガーゼをつけて登校した。

一番早くその傷に気づいたのは、当時私の好きだったおんなじクラスの男子だった。

「どうしたの?」

「プリン作っててヤケドした」

「柄にもないことするからだよ」

「そだね」

そういう会話をした。

「柄にもない」という言葉が胸に刺さり、私は女子として見られていないんだなと思い、その恋は告白することもなくそこで終わった。

でも今でも真っ先に気づいてくれて、ちょっと悲しそうな目をしてその言葉を放ったその子のことを思いだすととても切なくなる。

「苦い想い出」

でもそんな日々があったから、私は今でも生きているのかもしれない。