なんと・・・
昨日は、「槍ヶ岳への道5」で5日目を書きはじめたら・・・
眠くなって、無理やり終わらしてしまったのね~ん
改めて
5日目
もしかしてハリーポッターのように段々物語が暗くなるっていうパターンなのか???
と思った人がいるかいないかは別として
否が追うでも、朝はやってきて
また山に登り始めなければならないのである・・・
三俣のテン場は小屋からは遠かったが、次の三俣蓮華岳への登りの途中で
幕営したため、出発のときは幾分とくした気分
この日の次の幕営地は槍ヶ岳山荘
まさに槍ヶ岳の肩にあたる部分にある小屋のテント場
混雑が予想される為、陽が登り5時過ぎのやや早めの出発
そう、基本的に陽が登ってからの出発がこの縦走の原則
だって暗いうちに歩くと景色が見えないから
初めての道やし
やっぱ、景色は楽しみながら歩きたいというのが自分にとってのこの縦走のルール
まぁ、苦しくて景色見る余裕ない時が多いねんけど(笑)
暗いうちに、撤収作業
朝露で濡れたテントを畳んでさぁ出発
山を登り始めるとすぐに分岐に出合う
三俣蓮華岳へ向かう道と双六小屋への巻き道との分岐
槍ヶ岳は人気の山なので、人が多いだろうという予想はしていた。
遅くとも14時には着きたいところ
巻き道を使えば余裕で13時には着くんやろうけど、やはり双六は見過ごせない
と、稜線ルートを選択
1時間の差がある
あとは脚で稼ぐしかない
ここからやや急な登りがしばらく続くけど、
それほど苦もなく
三俣蓮華岳(2841.2)に登頂
何気に300名山
本来展望の良い頂上やけど、残念ながら真っ白
う~ん、眺望が魅力の双六までには晴れてくれないかな・・・
と、いう思いが届いたのか
双六岳に向けて歩きだすとほどなくガスが抜けはじめる
双六岳はどろ~んとした感じの山で(笑)
猛々しくなく、のんびりした感じで柔らかい感じの山
ガスも晴れて、気持ちの良い道が続く
が、
やはり、結構それなりに登りが続き結構な体力を消耗してしまう
ペースを上げて歩いた為、結構バテながらも予定タイムよりも早く双六岳に登頂
いぇい!
だだっぴろい山頂
特徴的なピーク
さぁ、ここからは一旦双六小屋まで降りてそこからいよいよ槍へ
双六の山頂直下から槍ヶ岳を望む
槍ヶ岳ロード
なんとなくそう名付けた(笑)
ここから一気に小屋までは長い下り
一番下ったところに双六小屋がありしばし休憩
広く、のんびりした綺麗な小屋でゆっくりしたく気分になる
今度はここで泊りたいなぁ
とりあえず、まだ食欲がないねど何かカロリーを摂っておかなくてはと
林檎があったので丸ごと一つ食べた
フルーツって有り難いね
何とか死なずに生きていける(笑)
ここで十分にエネルギーと水を補給して
さぁ、いよいよ出発
最後の闘いだ!!
予定よりもやや早く進めている
この調子で行けば13時前には槍ヶ岳山荘に着くはず
まぁ、ゆっくり登ろう
小屋を発つと、すぐに急な登りが始まる
ゆっくりと、一歩一歩
いきなりきついが確実に標高を上げ登り続ける
ほどなく樅沢岳
ここまででも十分にしんどいのにまだ槍へは1/3も進めていない
もっと険しい道が待ってるはずやのに・・
先が思いやられる
ってゆっくりもしてられず、また槍へと続く尾根を歩き始める
左俣
果てしない
終わりがないんじゃないのか?って思うくらいずっと続いていく道
西側の稜線に出ると風が涼しい
時々その風が吹く稜線で休憩をとるが
逆に止まっていると身体が冷えて寒くなってしまう
体力は驚くほど消耗していく
双六小屋まで巻き道を使わなかった事をここに来て後悔する
荷が重い・・・
もう歩けないな
と、何度も止まってはまた歩きだすという繰り返し
そして
いよいよ西鎌尾根への取り付き
ここからは当分写真なし
ってか、記憶すら危うい(笑)
やや険しい岩稜地帯を通過していく
普段ならどうってことのない岩場でも、重荷を背負った上にこの体力の消耗具合
力が出ない
ザックが振られる
危ないな・・・
事故る時ってこういうときなんなんやろな
ヤバイな
がんばらんと
でも、力が出ない、もうしんどいし無理や
まぁ、落ちてもいいか・・・
って、何度もふと力を抜きそうになる衝動を押さえながら
慎重に、少しづつクリアしていく
フラフラになって少し広いところに出ると
そこが千丈乗越
そのまま登ると槍ヶ岳のピーク
右へ下ると槍平から新穂高温泉への下山コースの分岐点
あぁ、西鎌尾根は終わったんや・・・
良かった、クリアした
ここにきてやっと少しほっと安堵することが出来た。
でも先を見るとまたこれからの苦難を目の当たりにさせられる
そう、槍ヶ岳の主稜の登りがそこにある
これは・・・
無理とちゃうか?・・・
うん、無理や
だってもう足が動かへんねんから(笑)
残念ながらここまでや
これ以上はもう山を登る体力はほんの微塵も残っていない
かろうじて、少しなら下りる事くらいは出来るだろう
さぁ、ここからもう槍平まで下りよう
もう十分がんばった
と、ザックを再び背負い歩き出すが・・・
向かった先は槍ヶ岳の頂上への道
いきなし始まる九十九(つづら)の急坂
「違う、違う!そっちとちゃう」
と心の中でそう抗う自分がいるけど何故か逆の方向へ登っていく
おい、おい、、、
まじか?
と、自分に問いかけながらも、本当に短い歩幅で
少しずつ山を登っていく
ああ、やってもーたか
これはもう登り切るしかない
と、とにかく登り続ける
1時間
1時間歩けば槍ヶ岳山荘に着く
今日のピークの登頂は無理でも肩の山荘まで着けばそこで幕営して
翌朝アタックすることも可能やし
そう、とにかく槍ヶ岳山荘までだ
そこまで行こう!
歩く・・・
ひたすら歩く
荷が重い
ハーネスを色々調整するが、どの位置にしても忽ちその重量は体に圧し掛かる
もう止まると再び歩き出せない気がして、ほとんど休憩をとることもなく
ただただ歩いた
そして・・・
槍ヶ岳山荘に到着
これほど嬉しかったことはないくらい
ここに到着したときは全て緩めて、完全なる武装解除をした
やった、着いた
なんと12時半に到着した
全然予定よりも早く到着
さぁ、あとはテントを張ろう!
しかし・・・
ここで思わぬ事態が
「すいません、今日はもうテントは張れません」
という、言葉を山荘の受付から聞いた時は一瞬その意味が理解することが出来なかった
そう、もう一杯でテントを張る場所がないと
まだ12時半やぞ?!
連休の合間の平日を狙ってここに当てたのに・・・
自分の読みの甘さを悔やんだ
さぁ、問題はここからどうするか?
最初はプランをひっくり返されて全く何も考えられなかったが、
小屋前でジュースを飲みながら座って考えてると少しづつ色々浮かんできた
まず、
1、お金を出して山荘に泊まる
→これはない。
テントを持って歩いてる登山者は小屋には泊まらない
まぁ、それが悪いというわけではないけど、今回の縦走ではそれはナシってことで
2、殺生ヒュッテまで下りて幕営
→目前の谷に殺生ヒュッテのテント場が見える。
まだ全然余裕があって確実にそこなら張れる。
しかし、最終新穂高まで行かなければならないので、
いずれにせよ一旦そこまで下りたら、
またここまで登り返さなくてならない。
下りは30分程度でも登りは1時間半。
う~ん、とてもそんな気にはならない。
3、南岳までいく
→南岳までも1時間程度だが、登り返しがある。
もう荷を背負って登る体力などどこにもない。
4、一気に槍平まで下りる
→まずこれから空荷で槍の頂上へ登って下りてから荷を背負って
槍平まで下りる。
槍平のテント場なら広いので遅くなっても確実に場所は確保できる。
ただ問題は、槍のピークへの登りが渋滞していて
ここを登って下りてくるのにどれくらい時間がかかるか・・・
あまり遅くなれば槍平まで届かない
コースタイムでおよそ3時間
これを1時間半で下りる
それでいこう
という計画へ変更
体力はないはずだけど、下りならなんとかなるやろう
どっちにしても明日は歩く道やし
それよりとにかく、槍ヶ岳へ
ピークへは団体さんのオンパレードで大渋滞
少し険しいけどクサリやはしごがついてて全然登りやすいねんけど
まぁ、北アルプスで最も人気のあるピークやから仕方ないか
順番をまって・・
いよいよピークへ!
そして
槍ヶ岳(3180)
とったど~
ガスって何も見えないけど、この後ろ遥か向こうに5日前にいた針ノ木岳がある
縦走中、じゅっと見えていた槍の穂先
それがここ
人間、やればやれるもんだ
普通ならこれだけ混んでたら登らないところやけど、
今回はここを目指しての縦走やからね
何としても登りたかった
さぁ、これで全てのピークに登った
後は下山
まだ槍平まで下りなければならない
結局渋滞の為、槍ヶ岳山荘を出発したのは14時半
足は痛いが言ってられないので、構わずどんどん急坂を下っていく
2800m以上のところはガスってたけど、折り始めると天気は回復
走るように下って千丈分岐
意外とここからが長かった・・・
槍平まではここから1時間かかった
途中、陽気な夫婦(?)に教えてもらった水場の水が美味しかった
疲れ果てた中にもいくつも感動があって
やっぱり楽しいと思う
そして、槍平の幕営地に到着
遠かった
長かった
朝5時過ぎに歩き始めて到着したのが16時半
歩くこと11時間半
最後にして始めて計画の変更をすることになった
5日目にして一番ハードな一日
槍平のテント場は飛騨沢と南沢が合流する右俣谷の上流にある
広くてのんびりとした雰囲気の平和な場所だった
河原地の平な場所でテントも張りやすいし
スペースも広くとれて本当に疲れを癒すことが出来た
回りのキャンパーもこれまでとは違う感じで
なんとなく
野戦病院みたい(笑)
ここはもう弾は飛んでこない安全の確保された休息地
そんな感じ
熱い紅茶を飲みながら目の前の穂高の峰を眺めてると
どんどん疲れが癒えていく、気がする・・
ほっとひと息
槍ヶ岳まで登ることが出来、無事にここまで下山出来たこれ以上にない安堵感がある
もうこれ以上登らなくていいんだと
そういう何とも言えない充実感と、虚脱感に満たされて過ごす北アルプス最後の夜
この日は18時半頃から縦走中はじめての夕立に見舞われた
バケツをひっくり返したような大量の雨
テントのフライを激しく雨が打つのを聞きながら最後の山の夜に眠りにつくのでした・・・
5日目終了