「経験代謝」をテーマにしたJCDA(日本キャリア開発協会)のキャリアカウンセラー向けトレーニングを受けてきました。
「経験代謝」…つまり経験から自分にとっての意味を抽出して、キャリアに生かしていく過程に注目したコンセプトです。
JCDAでは、ここのところ、「経験代謝」に着目し、調査研究を進めているのだとか。
このコンセプトのトレーニングを行われるのは今年からなのだそうですが、少々意外な気がしました。
というのも、私が身を置く研修業界、特にリーダー育成を使命とする経営教育の業界は、何年か前から「経験から学ぶ」というのがちょっとしたブームだったからです。
なかでも有名な米国のCCL(Center for Creative Leadership)というリーダー育成機関の研究です。
リーダー育成というと、「何をインプットしなくてはならないか」という”What”に着目されがちですが、「どういう経験から」「どのように学ぶのか」と”How”も"What”と同じく重要であると提唱しています。
「優秀なリーダー」と言われた人を研究すると、自らの経験から学ぶ能力が非常に高いとのこと。
そして、同じ「経験から学ぶ」といっても、ある人は「自分一人でじっくり考える」経験からより深く学んだり、別の人は「人の話を聞く経験」からより学ぶなど、学ぶスタイルは区々であることも研究からわかっているそうです。
ただ、どういった経験からも、学びが深いということが、優秀なリーダーの特徴でもあるとのこと。
本邦においては、リーダーの積んだ経験のうち、特に「一皮むける」経験に注目されたのは神戸大の金井先生で、それについて書かれた本もロングセラーとなって広く読まれています。
では、もし、「リーダー」と「リーダーでない人」がいるとしたら、こうした学びのパターンや方法は異なるのでしょうか?
私はそうは思っていません。
誰にでも「経験から学ぶ能力」はあるし、その行動パターンそのものはそれほど変わりはない。けれど、そこから抽出する意味合いの違いによって、リーダーになる第一歩の「リーダーを目指すか否か」が分かれるように思うのです。
ただ、「経験から学べない」ということは事実としてありますよね。
ちょうど先日、「経験から学べない」原因はどこにあるのか、同僚と話すともなく話していたのですが…
二人とも結論は同じでした。
それは、「素直さ」があるかどうか。考えの異なる他人をどれだけ「受容」できるか。
重厚長大企業に勤めていて、今は多くの部下を持つ同僚は、「素直でない奴は、ぜんぜん物を吸収せーへんねん」と関西弁でぼやきます。
人材育成が長い私も思わずうんうんとうなづいて。
人から良い言われたものは、拒否する前にやってみる。
褒められたら、喜んで木に登ってみる。
そんな人のほうが、ビジネスパーソンとしてよく伸びるよね…と。
あれ?
これって、クランボルツ博士のキャリア理論「計画された偶然性」で言われた「好奇心」や「リスクテイキング」「柔軟性」で言われていたことほぼ同じ。
ただし、「好奇心」や「柔軟性」(素直さといってもよい)は、人間の性格そのもののように聞こえます。
だとしたら、キャリアカウンセラーの支援で、こうした要素を変えられるのでしょうか?
変えられるのが難しいとしたら、「経験代謝」をクライエントが行うプロセスの中で、キャリアカウンセラーの果たす役割はどこにあるのでしょうか?
いろいろ考えてしまいました。
JCDAの調査研究に大いに期待しています。