「さむいよーーー」
2匹が魔法を覚えてから数日が経(た)ち、季節は12月中旬になっていた。たまごが拠点の入口で駄々をこねていた。
「あまいちゃん、さむいから・・・」
「駄目だよ。やっと手から 小さな炎を出せるようになったんだし訓練しないとね。忘れたら・・・川まで行って特訓だよ?」
「それは・・・」
「じゃ、頑張ろうね」
最近、雪が薄(うっす)らと積もる日もある朝だ。気持ちはわかるが、たまご・・・お前は庭を駆け回る動物だろ? あまいは付き合ってるんだぜ?
「ごしゅじんさまは、一緒にしないの?」
たまごが言った。
「俺、魔法使えないし剣や弓の訓練なら室内で出来るからね」
用意周到な俺は、訓練部屋を増築済みだ。
「ごしゅじんさまに、見てもらわないと上手く出来ないかもよ?」
あくまでも俺を巻き込みたいらしい。
「では、ご主人様も一緒に来てください」
あまいが言った。
「あまい、見るだけなら拠点の窓からも見れるから俺は、行かないぞ」
「えーーー ずるーい」
たまごが言った。
「見ていたら上手くできるんだろ? 窓から見ててやるよ」
たまごと、あまいは外に行った。寒い中、誰が外に行くねん。しかし、約束は約束なので たまごの訓練をのんびり見ていた。
手から炎を出せるようになったが魔法を使う時、口を押えていないと駄目らしい。押さえてないと口から出るそうだ。
しばらく たまごを見ていると たまごの口が光ったような気がした。気になったので 寒いが仕方なく外に出て、たまごを見てみると・・・やはり魔法を使う時、口が光ってから火が出るみたいだ。
「しゅうりょー」
たまごが言った。
「もうちょっと、やってみて」
「さむいから、拠点にはいるー」
「俺が、やってくれと言ってるのに拠点に入るの?」
「うん」
たまごは、はっきり言った。
「まあ、いいけど・・・後悔するなよ。新作のおやつ作るの中止だな」
「やる やる」
たまごは、やる気を出したようだ。
つづく