はじまりの夢59 | 遊人 World

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「さむいよーーー」

 

2匹が魔法を覚えてから数日が経(た)ち、季節は12月中旬になっていた。たまごが拠点の入口で駄々をこねていた。

 

「あまいちゃん、さむいから・・・」

 

「駄目だよ。やっと手から 小さな炎を出せるようになったんだし訓練しないとね。忘れたら・・・川まで行って特訓だよ?」

 

「それは・・・」

 

「じゃ、頑張ろうね」

 

最近、雪が薄(うっす)らと積もる日もある朝だ。気持ちはわかるが、たまご・・・お前は庭を駆け回る動物だろ? あまいは付き合ってるんだぜ?

 

「ごしゅじんさまは、一緒にしないの?」

 

たまごが言った。

 

「俺、魔法使えないし剣や弓の訓練なら室内で出来るからね」

 

用意周到な俺は、訓練部屋を増築済みだ。

 

「ごしゅじんさまに、見てもらわないと上手く出来ないかもよ?」

 

あくまでも俺を巻き込みたいらしい。

 

「では、ご主人様も一緒に来てください」

 

あまいが言った。

 

「あまい、見るだけなら拠点の窓からも見れるから俺は、行かないぞ」

 

「えーーー ずるーい」

 

たまごが言った。

 

「見ていたら上手くできるんだろ? 窓から見ててやるよ」

 

たまごと、あまいは外に行った。寒い中、誰が外に行くねん。しかし、約束は約束なので たまごの訓練をのんびり見ていた。

 

手から炎を出せるようになったが魔法を使う時、口を押えていないと駄目らしい。押さえてないと口から出るそうだ。

 

しばらく たまごを見ていると たまごの口が光ったような気がした。気になったので 寒いが仕方なく外に出て、たまごを見てみると・・・やはり魔法を使う時、口が光ってから火が出るみたいだ。

 

「しゅうりょー」

 

たまごが言った。

 

「もうちょっと、やってみて」

 

「さむいから、拠点にはいるー」

 

「俺が、やってくれと言ってるのに拠点に入るの?」

 

「うん」

 

たまごは、はっきり言った。

 

「まあ、いいけど・・・後悔するなよ。新作のおやつ作るの中止だな」

 

「やる やる」

 

たまごは、やる気を出したようだ。

 

 

つづく