「では、あまい やってみな」
川に着いた。次は、あまいの番だ。
「えいっ」
手から小さな炎が出た。
「すこし小さいような・・・」
「ちゃんと、加減したので・・・次は、たまごちゃん位の出すよ」
そう言うと、先程の たまごと同じ大きさの炎を出した。
「じゃあ、たまご・・・やってみろ」
「ゴオオオォー」
また、口から出した。
「あまいは口から出せるの?」
「やってみる」
そう言うと、あっさり口から出した。
「たまご・・・あまい みたいに両方が出来るなら格好いいけど、口からしか出せないのは格好が悪いぞ。手から出せる練習しないと、口からしか魔法を出せなくなるぞ」
「ほんとにーーーー? 練習しないと・・・」
たまごは口から魔法をたくさん出していた。それでは意味がないと言うのに・・・
「あまい 今度は、この川を想像して水を出してみろ。強すぎると倒れるかもしれないから気をつけてな」
「わかりました」
あまいはサラリと手から川の流れを遮(さえぎ)る程の激流を出してみせた。たまごは、相変わらず口から炎を出している。
「あまい 無理するなよ。倒れるぞ」
「ご主人様、全然平気です」
どんどん口から炎を出している たまごも、大きな魔法を使って平気な顔をしている あまい・・・初めて魔法を使ったのに、どんだけ魔力があるねん。
「たまごは手から小さい炎を出す練習、あまいはイロイロな物を想像して魔法を出す練習をしろ」
「はーい」「わかりました」
魔法を撃つのが楽しいのか、素直に従う。
たまごが、どんどん口から炎を出すので辺りは寒く無い。のんびりと観察していると ある事に気がついた。
たまごの炎は白っぽく、あまいの炎は黒っぽいのだ。
「たまご 真っ黒な炎を出してみろ」
「うん・・・あれ? でないやー」
「あまい 真っ白な炎を出してみろ」
「出ない・・・」
得意そうに魔法を撃とうとした あまいは出せない事に驚いていた。俺は本を読んでいた為、ちゃんと理解している。
「たまごの炎が白っぽいのは無意識に聖属性の魔法が混ざっていたからだな。聖属性の者は闇属性は使えない。あまいは、その逆だな」
「おおーーー」「本で読んだんですか?」
たまごは尊敬の眼差しで、あまいは最初から言ってよって顔で言った。
「じゃあ、あとは あまいに任せるから たまごの面倒を見てやってくれ」
「えーー- 帰るの?」
たまごが言った。
「魔法が使えない俺がいても意味ないからね」
「わかりました」
納得したように、あまいが言った。
練習は2匹に任せて、俺は帰って解読の魔法書を読む事にした。
つづく