はじまりの夢58 | 遊人 World

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この世界の物語はフィクション!! 気分で? 音楽・魚・植物等
(トラブル防止の為、二次使用禁止)

「理解は出来るが・・・」

 

俺は拠点で解析の魔法書を読んでいた。

 

花ちゃんが言っていたように変わった魔法みたいだ。覚えるのは簡単だけど知識が必要になってくる魔法であった。

 

例えば、金属を解析する時には鉄・銅・金・銀を それなりに知っていなければ解析できない。生き物であれば骨格・筋肉等を、ある程度 理解していなければ駄目らしい。要は知識が無いと、覚えても使えない魔法と言う事だ。魔法書の9割9分が知識編だった。

 

ただ、雑な魔法なのか わからないが人体の仕組みをある程度、知っていれば人を解析できるし 動物の知識が無くても人が解析できれば動物も解析できるようになる大雑把な魔法だった。

 

ついでに言えば、植物の全種類を知らなくても ある程度の種類を知っていて 育てる事が出来れば、植物を解析できると言う 俺からすれば簡単な魔法だった。

 

知識は、それなりに・・・問題は魔法が使えない事だった。

 

魔法が使えない花ちゃんから助言は受けていたが・・・

 

「目に力を入れて睨(にら)む? 凝視する? 舐めまわすように見る? あとは・・・気合と根性で覚えられるよ」

 

いつの時代の体育教師なんだろうか、そんな教え方では理解出来る はずがない。永遠の38歳と言ってるが・・・還暦を過ぎてるんじゃないかと思う程、昭和だった。

 

知識があるのだから、どうにか使えないかと悩んでいると

 

「たっだいまー」「ただいま」

 

腹を空かせた2匹が帰ってきたので食事を作る事にした。

 

「ごしゅじんさま、機嫌が悪いの?・・・」

 

恒例の毛並み整えろ攻撃の前に、たまごが言った。

 

「なんで?」

 

「だってー ずーと怖い顔してるし・・・」

 

解析を覚えようとして、あらゆる物を凝視していた為に機嫌が悪く見えたみたいだ。

 

竹櫛(たけくし)を笑顔で見せると・・・

 

「いっちばーん」

 

2匹しかいない上に、あまいは必ず たまごに譲るので いつも1番なのだが・・・

 

毛並みを整えてやると自分達の寝床に行ったのだが

 

「さむーい」「さぶ さぶ」

 

なぜか、俺の寝床に入ってくる。

 

「くちゃい くちゃい」「寒いから、しかたなく」

 

「文句があるなら自分達の寝床で、ねれば?」

 

そんな話をしながら、2匹と眠るのだった。

 

 

つづく