「たっだいまー」
誰も家にいないのだが、たまごの元気な挨拶だ。昨夜は、何も起こらず夕方には無事に拠点に着いた。
「お風呂入ってくるー」「覗(のぞ)かないでねー」
2匹は風呂に行ったが・・・当然、覗く気はない。夕飯の準備を終えて俺も風呂に入った。
風呂から出てくると、2匹は風呂から出ていたみたいだ。
「夕飯・・・減ってない?」
「へってない へってない」
たまごは動揺しているようだ。
「口元にマヨネーズついてるぞ」
今日はマヨネーズを使った料理が無いのに、たまごは口元拭いた。
「拭いてるじゃん」
「だから、たまごちゃん ばれると言ったでしょ?」
あまいが飽きれ顔で言った。
「何でばれたの?」
「口元に何もついてないのに拭いたでしょ?」
「ごしゅじんさまに、はめられたーーー」
楽しく夕飯を食べ終え、2匹は平仮名であ~んまでの50音が書かれた竹製の板で、しりとりをしている。2匹は遊んでいるつもりだろうが自然と文字の勉強を、させれられている事に気づいていない。
俺は、その横で剣の基本(初級~中級)を適当に読んでいた。書いてあった内容は、ほとんど2匹との訓練で出来るようになっていた。最後の方に熟練の上級になると、空気を切れる・剣から気を放つことが出来る等と書かれた後、上級編につづくと書かれていた。作者は商売上手だなと言うのが感想であった。
剣の腕は中級レベルらしい。ちなみに、この本を基準にした場合・・・弓のレベルは上級だと思われる。
なぜなら、3本は無理だが2本同時に矢を放つことが出来る上に、矢の方向を曲げることも出来るのだ。
まあ、出来るようになった理由は意地である。たまごが俺の弓の訓練を見ていて、2本同時に矢を撃てないの? 矢は曲がらないの? ご主人様は弓を使うの上手くないんだねと言われたから意地で出来るようになったのだ。
ただ、矢を曲げられるようになってからは、あの木の陰に隠れている的を狙って等と たまごの見世物になっていた。
剣の基本は必要ないので魔法の基本(初級~中級)を読んでいると
「あれ、やって」「やさしくしてね」
眠たくなった2匹の毛並みを整えてやると2匹は自分達の寝床に行った。俺も寝床に入って本の続きを読んでいた。
「さむーい」「さぶ さぶ」
2匹は、そう言って俺の寝床に入ってきた。しょうがないので俺も眠る事にした。
つづく