はじまりの夢54 | 遊人 World

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この世界の物語はフィクション!! 気分で? 音楽・魚・植物等
(トラブル防止の為、二次使用禁止)

「どうしたの?」

 

俺は、2匹に聞いた。

 

「たんけん、ダメ」「短剣だけは譲れません」

 

短剣を渡すのは嫌みたいだ。

 

「短剣くらい、いいじゃん」

 

「たんけんは、たからもの」

 

たまごが言った。

 

「この短剣はご主人様から初めて頂いた大切な物です」

 

あまいが言った。

 

「たからものは、わたさなーい」「短剣は渡しません」

 

2匹が同時に言った。

 

「ごめん ごめん」

 

花ちゃんが言った。

 

「素直に言うと・・・元々、売るつもりは無く遊人達と出会った記念に欲しかっただけなんだよね。今度、いつ会えるかわからないからね。ごめんね、最初から素直に言えばよかったね。二人の宝物を取ったりしないよ」

 

2匹は威嚇するのを止めた。

 

「まったく、ほんとに・・・花ちゃんも最初から、そう言ってくれれば怒ったりしないのにねー あまいちゃん」

 

「本当だよねー たまごちゃん」

 

「ごめんねー 二人ともー」

 

誤解の解けた彼女達は仲良く談笑をしている。日頃、カッコ悪いだの 何だの言っていても、2匹は気に入っているようだ。これは気持ちを改めねばならないな。

 

「ご主人様、言っておきますけど短剣だけですからね」

 

「たんけんは、たいせつー」

 

前言撤回!! たまごと あまいは、たまごと あまいだった。

 

「じゃあ、俺の剣だけ持っていきなよ」

 

「ありがとう」

 

「これでお別れだな。荷物を積んでいる 一輪車はその辺に置いといてくれれば、2匹が遊びに来た時に回収してくるだろうから」

 

「本当に、一緒に野営しないの? ・・・わかったわ。さようなら、またね」

 

「おう、またな」

 

「ばいちゃー」「さようなら」

 

ここで、花ちゃんと別れて拠点に戻る事にした。

 

しばらく進むと日が暮れたので、見通しのいい場所に火を熾し野宿する事にした。

 

「では、俺が先に寝るから眠たくなったら起こしてね」

 

「はーい、おやすみ」「おやすみなさい」

 

見張りは俺と2匹で別れてする事にした。2匹が仲良く話しているのを見ながら眠る事にした。

 

「ご主人様、起きてください」

 

あまいに起こされた。

 

「もう、ねむねむー」

 

たまごは眠そうだった。

 

「あとは俺が朝まで見張るから2匹とも寝な」

 

「おやすみー」「おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

2匹は眠りについた筈だったが、しばらくすると

 

「さむーい」「さむさむ」

 

2匹は、そう言いながら防寒用に俺が纏っている大きめの毛皮の中に潜り込んできた。

 

「くちゃいよ、あまいちゃん」

 

「だよねー たまごちゃん」

 

「文句があるなら自分たち用の毛皮で寝なさい」

 

俺は纏っていた毛皮を一瞬広げた。

 

「さむーい」「さぶ さぶ」

 

そんな話をしてる間に2匹は眠ったようだ。俺は2匹を起こさないように辺りを見張るのだった。

 

 

つづく