「これが、お前たちの剣だ」
数日後、季節は8月。剣と言っても刃渡り20㎝もない小剣だ。木刀に付けていた柄を付け直して渡す。初めは同じ物を渡すつもりだったが、たまごが間違えるといけないので・・・たまごは両刃、あまいは片刃である。
「おもーい」「少し重いです」
「ん? かっこいいぞ!」
「・・・・・」
「惚れないでよね」
たまごは照れているようだった。あまいには惚れないと思うが・・・もう一度言っておく動物には興味がない。
「口を切るなよ。あと、これな」
「なに、これー ダサいよね、あまいちゃん」
「かっこ良くはないと思います」
「じゃあ、返して抜き身で刃物持ち歩いて体中傷だけになったらいいねん。もしくは、自分たちで作れば?」
「かっこいい かっこいい」「素晴らしいと思います」
俺が夜なべをして作った、つけ外し簡単な皮の背中に背負える入れ物にケチをつけるなんて贅沢な奴らだ。
「前足の肩の部分付近にかみ合って止まるから、使用するときは外して地面に置いて抜くように」
「はーい」「わかりました」
2匹はいつもの訓練に加えて取り外しの訓練も頑張る事になる。緊急事態の時、外せないと意味ないからね。
「いたーい」
たまごが手を切ったようだ。薬を塗っておまじないをしてやる。
「痛いの痛いの あまいに飛んでいけー」
「あれ?痛いの無くなったー」
「いたた・いたた、痛いのたまごちゃんに戻れー」
こんな感じで訓練は終わっていく。
「いってきまーす」「いってきます」
「あまり遠くに行くなよー」
2匹は遊びに行った。最近、午後はのんびり出来るようになった。2匹が遊ぶついでに薬草・野菜とか食べたい物を取って来るようになったからだ。
「最近ご主人様、きびしいよねーあまいちゃん」
「剣の訓練だけでしょ?」
「食事の時も綺麗に食べろとか、うるさいじゃん」
「それ、たまごちゃんだけだから」
「拾い食いするなとか、つまみ食いするなとか・・・」
「それも、たまごちゃんだけだから」
「・・・・・」
「遊びに行こうよ」
「うん」
たまごと あまいは仲良く遊ぶのだった。
つづく