神戸モダン建築祭


続きましては神戸港新港第4突堤Q2上屋

今回の神戸モダン建築祭で

私が1番「来て良かった!」と思った場所です

ターミナルに向かう歩道橋の上から撮った写真

壁にQ2と描かれていてわかりやすいですね

こちら、普段は立ち入り禁止なんですが

今回は建築祭で特別に公開されていました


まずは新しく綺麗なポートターミナルの中へ

ターミナルの先にあるドアを通り抜け

海沿いの通路を奥まで進む

あの左手に見える建物がQ2上屋の見学入り口


Q2上屋は1913年に建てられた突堤です

当時の神戸港はヨーロッパ航路の玄関口でした

更に、海外からやって来た人々が

日本各地へ行けるよう

大阪、京都、奈良へと続く鉄道が

ここから出発していました

国際旅客船の到着駅でもあり

鉄道駅舎でもあったQ2上屋は

多くの旅行者で賑わったそうです

チャーリー・チャップリンや

アルベルト・アインシュタインが

降り立った場所でもあるんですよ!


そんな歴史あるQ2上屋の中はこんな感じ

超絶廃墟やん!

建物の3階は宿直室だったようで

小さな部屋と台所、トイレ、お風呂がありました


台所に当時の生活を感じる

ガスコンロではなく釜戸なんやけど

デザインが洗練されている


あっちは釜戸やのに

水道の横にはガス湯沸かし器ついてた

結構新しいように見えるんやけどいつのやろ?

しかしこのタイプの湯沸かし器、懐かしいわ〜

そして端っこに置かれた盛り塩

これはまさか当時のままなの?

国際航路を扱うハイカラな場所に

日本的な精神が残ってるの

めちゃくちゃ興味深い


お風呂にはなんらかのアート展示をした痕跡が…

展示物もちょっと古くなって埃被ってて

廃墟感マシマシですね

このアート、片付けへんのかな?


浴槽の横にシャワーもあった

細かな調整ができなさそうな武骨なシャワー

とてもいい


トイレの洗面台

いかにも廃墟の洗面台です!

といった風情

てかこれ、水漏れしてるんじゃないでしょうか


トイレは洋式でした

ペーパーホルダーがドアに付いてるのって

なんか新しい

なんて言うか

建物はボロボロなのに

湯沸かし器とか便座とか

時々新しそうな物が混じってるのが違和感凄い


トイレの窓にもアートの痕跡

これはちょっと可愛いかった


宿直室を出て

よくわからないまま階段を下ります

うぉ〜!廃墟や!これは廃墟やで!


そして現れるこの風景

すごい!

こんなに美しくて完璧な廃墟

私は今まで見た事がない

大勢の人がここで写真を撮っていました

一歩歩く度に連写しまくる気持ちめっちゃわかる!

ここホンマ最高やんね!!


先程の左の壁にあった丸窓は

隣の部屋と繋がってました

何も無い美しさ

この部屋は何に使われてたんだろう


部屋の隅に置かれた梯子も

それだけで詩的

これは良い廃墟だわ


ここはターミナルの階段だったのではなかろうか

広い空間と丸窓から射す光が美しい


一階にはそれっぽい部屋がありました

ここは当時売店だったようです


その隣にある

広い扉は閉めきられていて

向こう側には行けませんでした

現在扉の向こう側は企業が倉庫として

使用しているそうです

当時はここを大勢の人が行き来してたんだろなぁ


この白い扉を背に進んで行くと

素敵なドアがあります

ここが当時の正面入り口だったようです

逆光だから色とかわかりにくいけど

めっちゃええデザイン!


売店から扉を挟んで反対側にあるのは鉄道案内所

窓の向こうは真っ暗で何も見えない


中が気になるので左側の通路を進み

鍵が開けられた扉を通って

案内所の中に入りましょう

もうこの絵面がヤバい

何もしてないのに犯罪の匂いを感じる


部屋に入ると中から鉄板が打ち付けられていた

そら真っ暗に見えるわ

元案内所の痕跡は全くないし

なんかコワイです…


部屋を出ると向かいにこの通路

めちゃくちゃ気になるけど

階段下の左手はすぐ行き止まりなんですよ

これ、何の為の空間なんだろ?


て事でこちら側に進みます

この寂れた壁も好きやけど


その先の空間の雰囲気が凄くて!

真っ暗な中で洗面台を照らす蛍光灯

なにこれ、映画かな?

廃墟感も益々加速してゆく


この空間は貴重品置き場だったらしい

暗い中にポツンとある謎の小屋は

かつて事務室でした

勿論中に入ります

つーかここ、ホンマに電気ついてなくて

真っ暗なんですよ

わざと?わざとなん?


部屋の中は暗く荒れている

棚に貼られたメモにはタオル、安全帯などの文字

暗いので私のケータイは光を拾えず

写真は大体全部ボケてました


棚側から小屋の入り口を見る

これは…

ゲームだと外に出たらゾンビに襲われるやつだな


まぁゾンビはいない訳なんですが

本当に出そうな雰囲気なんだよね

ここの空間マジで良過ぎる


小屋の外壁にはKEEP CLEANの文字が

煤けた「汚サヌ様」の文字と


その斜め向かいに放置された埃の積もった洗浄機

もうこれだけで物語が一本書けそう!

すごい…なんなんここ…最高…

もしかして完璧な廃墟演出家がおるんちゃうか


1階で完璧廃墟空間を満喫した後は

2階の明るい部屋を見て回ります!

当時2階では電信や電話などができたそうです

この部屋がそうみたいですね

こっちの部屋は光が入ってきて明るいぞ!


この部屋は事務室だったみたい

荒れてはないけどやはり廃墟

シンとしてますね


部屋の窓から階段の窓が見えて素敵〜♪

建物の中に窓があるってシチュエーション

かなり好きです♪


建物を出て

通路を歩きます

一見普通の通路に見えるけど

そこここにコンクリのカケラが剥がれ落ちている

ごく普通の廃墟通路です

左側の部屋はかつての待合室

ガラスの引戸になってて昔の文化住宅の入口みたい


通路の先、ここは見送り場だそうです

ここから世界へ出て行く船を見送ったのか…!

想像したらなんかちょっと感動

あちこち剥げ落ち、ひび割れている柱や天井

海風に晒されてるから傷みやすいんやろうな


見送り場の端の外へと続く階段は締切られてます

階段の下には誰かがとめた自転車が見えました

向こう側は見えるのに行き来は出来ない場所

なんか切ない気持ちになりました

これで一通り見て回ったので

Q2上屋を後にします


Q2上屋

廃墟としての規模も美しさも在り方も

これ以上ない程最高でした!

ホンマに完璧な廃墟だった!スゴイ!

更に神戸と世界の歴史について体験として学べて

当時に思いを馳せるきっかけとしても

素晴らしい建物だと思いました

ここから鉄道が大阪に続いてたなんて

全然知らんかったわ

知らん事だらけでめっちゃ勉強になる…!

Q2上屋の竣工時の図面

これ見るだけでも楽しい♪

図面まで展示してくれてありがとうございます!


さて、湾岸エリアの建物はほぼ見たので

次回は山側へ向かいます!