9月中旬のめちゃ暑かった日曜日
京都の街歩きツアーに行って来ました
今回参加したツアーはこちら!

【出町柳】工学博士と京都インフラ大解剖!鴨川デルタから京大へ、ドボクで解き明かせ

~鴨川名橋尽くし、珍マンホール、超芸術トマソン…街中土木をいちいち楽しむ~

京大の土木工学科の先生が土木(主に橋)について
詳しく色々教えてくれました
こういう話、面白くて大好き!


出町柳と言えば鴨川デルタ

その付近に架る橋について見て行きます!

まずは河合橋

出町柳から鴨川デルタへ繋がる橋ですね

まずは橋を渡って鴨川デルタへ降り

下から橋を見上げます


これこそが橋の本体、主桁です!

青い線で囲ってる部分ですね

囲ってないけど左の同様の部分も勿論主桁ですよ

ここが橋としての主要部分で

私達が普段橋だと認識してる道の部分は

主桁の上に乗せられた蓋のような存在らしい

確かに丸太橋は丸太が一本渡されてるだけやし

あの概念に「人が使い易いように」と

改良を重ねた物が現在の橋になったと考えると

道路の部分は橋のオプションと言えなくもないな

これが土木の視点!なるほどですね〜


河合橋は数年前に拡張工事が終わって

道幅が広くなりました

この外側に張り出した部分が拡張された歩道

主桁と違って丸いボコボコがあまりないです

赤い線で囲った丸いボコボコ

これはリベットと言う部品を使った接合方法で

溶接技術が現在ほどしっかりしていなかった頃の物

今の溶接は強度がバッチリなので

リベットはあまり使用しないのだとか

なので拡張された部分はスッキリしてます

リベットの有無で作られた時期がわかるって

一つ賢くなった気分で面白い〜!

橋の裏ってボコボコしてんなーとは思ってたけど

あれは飾りじゃなかったんやな


ところでこの橋は武田五一のデザインなんですよ

こうした有名な建築家の名前は知られてても

実際に工事をして作ったのは誰かと言うのは

あまり知られる事がありません

そういう情報は橋の隅っこに小さく書かれてます

知らんかった

今まで橋のこんなとこ覗いた事ないわ

デザインする人も凄いけど

実用に見合うようにこれを作ってくれる人も超凄い


鴨川デルタを超えて

出町橋へ移動します

糺の森から商店街へ向かう橋ですね

見えにくいけど「出町橋」と彫られてます


下に降りて橋のプレートを見ると

(見難いですが右側の小さいプレートの方です)

「柳通歩道橋」と書かれています

あれ?名前が違う…?


名前の謎は一旦置いておいて

橋の下から見上げてみます

これは橋の真ん中

ここの主桁にはリベットが無いですね

河合橋より新しいって事でしょうか


橋の左端へ移動してみましょう

あ!よく見たら真ん中に青空が見えてる!

橋の間に隙間があるやん!

この橋、一つの橋じゃなくて

端と真ん中が別々の橋だ!

実はこちらの橋も拡張工事で

左右に新しく歩道部分が付け加えられたのです

元々あった車道の部分が「出町橋」で

後から作られた歩道部分が「柳通歩道橋」なのね

…って、ええ⁈そんな拡張工事の仕方もあるのん⁈


上から見たら違和感ない

車道の横に歩道橋を作るなんて

私の中には無い発想だった、スゴイ!

よく見たら歩道の端に土が溜まった隙間があって

うわホンマや!ってなりました


ここで一度橋から離れて

少し道路の方へ目を向けましょう♪

寺町今出川の交差点にある

大原口道標

ここはかつて交通の拠点となる重要な辻でした

北は若狭へ

東は白川越へ

南と西は京の市街地へと

それぞれに続く道があって

この道標には22ヶ所の名所と距離が彫られてます

当時の人からしたらコレめちゃ便利やったと思う

グーグルマップとか無い時代やもんね


ところでこの道標の下には

なんかこんな記号が彫られてます

不…?

これは昔の測量の印なのだそうです

そうなんだ!!

何が不なんやろって思ったけど

漢字の不と違うかったわ

測量用の記号やったわ


不の謎が解けてスッキリした後は

賀茂大橋へ

橋を渡って下から見上げましょう!


とても美しい賀茂大橋の下側

賀茂大橋の主桁は真ん中が一番厚く強く

左右の端へ行く程薄くなっています

これはかつて賀茂大橋の真ん中に

電車が走っていた名残りです

最も重い電車が走る部分の強度を強くして

その両脇は車が走るのでやや強く

一番端は歩道なので薄めになってるのが

橋の下から見るとよくわかります

今は無い当時の電車の面影が見えて来ますね


電車の面影は電柱にも見る事ができます

電柱ってそれぞれに全て持ち主がいるんですよ

基本的には電気を送ってる関西電力と

電話回線を扱ってるNTTが半分こしてるらしく

個人宅へ電線を繋げてる電柱は個人が使用料を払ってるそうです

へ〜、そうなんだ!知らんかった!

そして電柱には持ち主がつけた名前が書かれてます

この電柱に書かれた名前を見ると

上のプレートは「東今出」ですが

下のプレートは「市電東今出川」

こんなところに市電の名前が残ってるんですね〜


次は京大へ向かいます

案内してくれてる先生が京大の教授なので

堂々と中に入れちゃうぜ!


これは大学の中にしかないマンホール

実験排水

なるほど、これは危険な香りがする


土木工学教室本館前に到着

大正6年に建てられた煉瓦造りの建物

めちゃくちゃ良い!

この建物現役なんだよ、いいなぁ!

この建物の裏手にある謎のトマソンを見るのが

今回のツアーの最終目的です


トマソンとは

元は何らかの不動産の一部だっただろうけど

今となっては全く意味がなくなった部分で

やたら保存状態が良いもの

無意味過ぎていっそ芸術的な物を指します


これがそのトマソン

これは…一体何なのだ…?

角度おかしいやろ

階段ぽいけど違います


ヒント1

トマソンの前にはだだっ広い駐車場があります

昔はここに別の何かがありました


ヒント2

片隅には今は使われなくなった

整地ローラーが置かれてました

ちゃんと土木工学って名前が書かれていた

無記名だと他の学部が持って行くのだろうか


それでは答えです!

以前はここにテニスコートがあったそうで

これはテニスの審判用の椅子なんですって

おそらく当時の土木工学科の人間が

面白がって作ったのだろうと

見た目に反してとても丈夫に作られていて

今も普通に上に座る事ができます

面白〜い!


後から見た風景

今は駐車場に停まる車を眺めるのみの審判席

京都土木ツアー

普段と違う目線で京都の街中を見る事ができて

もの凄く面白かったです!

私が何も考えずに普通に渡ってる橋も

土木の方々の沢山のアイデアと努力があってこその賜物なんだなと改めて感じました

特に京都は景観に厳しいので他よりも大変そう

川の管理者と橋の管理者との折り合いの話なんかも聞く事ができて、大変興味深かったです

新しい事をする時って、まぁ色々あるよね!

便利で美しい

橋って素晴らしいな!